衆院選後の世論調査でも野党4党の共通政策の質問はない~衆院選報道振り返り④

 一つ前の記事の続きです。
 衆院選での立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党の共闘の意義は、小選挙区での候補一本化もさることながら、その前段で市民連合を仲立ちとして共通政策に4党が合意していたこと、その共通政策の内容が、安倍・菅政治、自公政権とはまったく異なる社会観、世界観を相当程度具体的に提示していたことにあったと、わたしは考えています。そうした目でマスメディアの報道をあらためて振り返ってみると、全国紙5紙(朝日、毎日、読売、日経、産経)は、4党の共通政策合意について、過不足なく報じたどうかには疑問を感じていることを、一つ前の記事では書きました。
 https://news-worker.hatenablog.com/entry/2021/11/14/235023

news-worker.hatenablog.com

 衆院選の終了直後から、マスメディアの世論調査の結果が報じられていますが、野党共闘に対する質問の建て方にも、通底する同じような疑問を感じています。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、共同通信の各調査を見てみます(それぞれの質問と回答状況の詳細は後掲します)。
 朝日新聞の調査は質問が二つ。まず来年の参院選について「野党による候補者の一本化を進めるべきだと思いますか。そうは思いませんか」と尋ねています。その上で、立憲民主党と共産党が外交や安全保障で主張が異なることを挙げて、両党が参院選で選挙協力することを問題と思うかどうかを尋ねています。
 読売新聞の調査も質問が二つです。衆院選で野党が候補者を一本化したことを評価するかどうか、次いで、立憲民主党は今後も共産党と協力して政権交代を目指すのが良いかどうかを尋ねています。
 毎日新聞の調査(社会調査研究センターと共同で実施)は、質問は一つ。来年の参院選でも立憲民主党と共産党が選挙協力を続けるべきだと思うかどうか、です。
 共同通信の調査では、「野党5党」の協力を質問の対象にしています。前述の4党に国民民主党を加えていると思われます。5党は今後こうした共闘関係を続けた方がいいと思うかどうかを尋ねています。
 4社の調査を総じて眺めるなら、調査の実施主体である新聞社・通信社の関心の傾向として①政策の合意点よりも候補者の一本化に関心が高い②中でも立憲民主、共産の2党間協力に関心が高い(共同通信は別)-と言えるように思います。政策面に具体的に触れて質問しているのが朝日新聞の調査だけで、その朝日新聞も政策の合意点ではなく相違点に焦点を当てています。
 政党であれば、個々の政策に相違点があるのは当然のことで、それでも各党で一致できるところを見いだし、連携していくことには、立憲主義、民主主義の社会では大きな意義があります。立憲民主党、共産党の間には、例えば日米安保条約の評価を巡って相違があるとしても、4党の共通政策では、沖縄・辺野古の新基地建設に対しては「中止」で明確に合意しています。そうした一致点があることを、社会でどの程度知られているのか、どのように評価しているのか、そういったことを明らかにする試みが、マスメディアの世論調査にあってもいいのではないかと思います。マスメディアの政治報道が、野党の政策の合意点にさほど大きな関心を向けていないことは、世論調査からもうかがえるように思います。
※市民連合と野党4党の共通政策は以下で見ることができます
https://shiminrengo.com/archives/4336

shiminrengo.com

 以下に、衆院選後に実施された4社の世論調査のうち、野党共闘に関する質問と回答状況を書きとめておきます。数字の単位は%です。

■毎日新聞・社会調査研究センター:11月13日実施
 衆院選では立憲民主党と共産党が選挙協力をしました。来年の参院選でも立憲民主党と共産党が選挙協力を続けるべきだと思いますか。
 続けるべきだ    19
 続けるべきではない 43
 どちらとも言えない 22
 関心がない     16

■朝日新聞:11月6、7日実施
 ・来年の参院選についてうかがいます。あなたは、参院選で、野党による候補者の一本化を進めるべきだと思いますか。そうは思いませんか。
 進めるべきだ   27
 そうは思わない  51
 その他・答えない 22
 ・立憲民主党と共産党は、外交や安全保障などについて、主張が異なります。あなたは、参院選で、立憲民主党と共産党が主張の異なるまま、選挙協力することは問題だと思いますか。そうは思いませんか。
 問題だと思う   54
 そうは思わない  31
 その他・答えない 15

■読売新聞:11月1、2日実施
 ・今回の衆議院選挙で、立憲民主党や共産党などの野党が、多くの選挙区で候補者を一本化したことを、評価しますか、評価しませんか。
 評価する  44
 評価しない 44
 答えない  13
 ・立憲民主党は、今後も共産党と協力して政権交代を目指すのがよいと思いますか、思いませんか。
 思う   30
 思わない 57
 答えない 13

■共同通信:11月1、2日実施
 立憲民主、共産などの野党5党は、213の小選挙区で統一候補を擁立し、当選は59人でした。5党は今後こうした共闘関係を続けた方がいいと思いますか、見直した方がいいと思いますか。
 続けた方がいい    32・2
 見直した方がいい   61・5
 分からない・無回答   6・3