ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

2009-01-01から1年間の記事一覧

宮古毎日新聞労組が全面勝利〜契約社員の雇い止め撤回(追記:動画あり)

以前のエントリーで紹介した沖縄県・宮古島の宮古毎日新聞労働組合が、契約社員の組合員の雇い止めを撤回させました。会社が3月31日に行った雇い止めは無効として、この組合員は6月、那覇地裁に労働審判を申し立てていましたが、10月5日の第3回審理…

「『一人ではない』と実感できたから頑張れた」〜「派遣」の先駆的な争議だった一橋出版争議(追記あり)

新聞労連の委員長当時に支援に加わっていた労働争議に、「一橋出版=マイスタッフ争議」と呼んでいた争議があります。当事者は東京・荻窪に本社を置いていた教科書出版社「一橋出版」で派遣社員として働き、2003年5月に「雇い止め」に遭った加藤園子さ…

読書:「新しい労働社会―雇用システムの再構築へ」(濱口桂一郎 岩波新書)

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ (岩波新書)作者: 濱口桂一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/07/22メディア: 新書購入: 18人 クリック: 401回この商品を含むブログ (84件) を見る 労働組合の専従役員を務めた計3年間を振り返って思うことが…

民主党のメディア政策と「表現の自由」の視点

少し時間が経ってしまいましたが、「TOKYOメディフェス2009」最終日(22日)の分科会「コミュニケーションとメディア政策を考える」には、総務副大臣に就任した民主党の内藤正光参院議員が参加し、民主党が政策集に明記している通信・放送担当の…

表現するのは「個人」〜メディフェス2009分科会の簡単な振り返り

昨日(20日)は午後、東京・表参道のウィメンズプラザで22日まで開催中の「第7回市民メディア全国交流集会〜TOKYOメディフェス2009」の分科会「徹底討論!『貧困の報道』と『報道の貧困』」に参加しました(参照過去エントリー)。日本ジャー…

「メディフェス2009」20日からです

以前のエントリーで紹介した「第7回市民メディア全国交流集会〜TOKYOメディフェス2009」の開催が近付いてきました。連休(春のゴールデンウイークに対してシルバーウイークとも呼ばれているようです)中の9月20日(日)から22日(火)まで、…

やはり「現場の責任」が前面に出た処分と最終報告〜海自・集団格闘死事件

一つ前のエントリーで取り上げた海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊(特警隊)」の集団格闘死事件で、防衛省は8日、担当教官でレフェリー役を務めていた2等海曹を停職20日、特警隊隊長だった1等海佐を停職15日とするなど21人の処分を発表しました。…

教官の資質の問題ではない集団格闘死事件〜自衛隊の拡大基調は続くのか

このブログでも何度か触れてきた事件ですが、昨年9月に広島県江田島市にある海上自衛隊特殊部隊の養成過程で起きた集団格闘死事件が、刑事手続きとしては一応の決着をみることになりました。検察は8月31日、格闘訓練の担当教官でレフェリー役を務めてい…

各紙政治部長の署名評論の雑感

民主党が308議席を獲得した8月30日の衆院選について、マスメディアは開票状況の速報とともに選挙結果がどんな意味を持つのか、論評にも力を入れました。東京都内発行の新聞各紙(最終版)は31日付朝刊の第一面に、政治部長らの署名評論記事を掲載し…

9月20日から「TOKYOメディフェス2009」〜「人と人をつなぐメディア」を考える

イベントのお知らせです。 9月の連休中の3日間、20日(日)から22日(火)まで、東京・表参道の「東京ウィメンズプラザ」を会場に「第7回市民メディア全国交流集会〜TOKYOメディフェス2009」が開かれます。テーマは「衣・食・住+メディア〜…

元外務省局長が法廷へ〜再びの「沖縄密約はマスメディアも当事者」(追記あり)

1972年の沖縄返還に際して、米国が負担することになっていた軍事施設の原状回復費400万ドルを日本が肩代わりするとの密約が日米両政府間で交わされていた「沖縄密約」問題をめぐり、密約文書の開示請求に対し国が「文書は存在しない」として非開示処…

戦争体験と戦場体験〜社会が継承すべきものは何か

8月15日は64回目の「終戦記念日」。64年前のこの日、第2次世界大戦が日本の敗戦で終わったことを、日本の社会の人々は「玉音放送」という昭和天皇の声のラジオ放送で知った、そういう日でした。ことしもこの日を挟んで、新聞各紙はそれぞれに戦争と…

戦争を起こさせないためのジャーナリズムの原点−Web版「ヒロシマ新聞」

きのう(8月6日)は広島への原爆投下から64年。広島市で開かれた平和記念式典では、秋葉忠利市長が平和宣言の中で「核兵器のない世界」を掲げるオバマ米大統領を支持し、世界の多数派を「オバマジョリティー」と呼んで、2020年までの核廃絶実現のた…

スイッチオン・プロジェクト成果発表会のリポート

一つ前のエントリーでお知らせしていた実験的ジャーナリズムの試み「スイッチオン」プロジェクトの成果発表会は3日1日、成功裏に終わりました。わたし自身は日程のやり繰りがつかず、当日は欠席となってしまいましたが、学生運営委員会のブログやプロジェ…

8月1日のスイッチオン・プロジェクト成果発表会にご参加ください

たびたび紹介してきた実験的ジャーナリズムの試み「スイッチオン」プロジェクトは、学生の記事のgooニュースへのアップが7月26日で一段落しました。計23人分です。8月1日には東京・講談社を会場に成果発表会が開かれます。学生の記事への各賞授賞…

「署名」と「取材経過の開示」はマスメディアにも可能性をもたらす〜「スイッチオン」学生の記事から学んだこと

新聞や放送、出版などのマスメディア、ネットやフリーランスで働くプロやメディア研究者らがデスク役となり、大学生の取材・記事執筆を指導する実験的ジャーナリズムの試み「スイッチオン」プロジェクト。7月1日からポータルサイトgooで始まった参加学…

先進性が色あせない宮古毎日新聞労組〜アエラ「珊瑚礁の島の労組つぶし」掲載

沖縄県の宮古島に宮古毎日新聞という地域紙があります。1955年創刊。公称発行部数は約1万6千部。沖縄には那覇市に発行本社を置く県紙として沖縄タイムス、琉球新報の2紙がありますが、宮古島と周辺の島々に限って言えば、宮古毎日新聞はシェアと紙面…

「落としどころ報道」「発表ジャーナリズム」をどう超えるのか〜憲法メディアフォーラムのシンポ報告アップ

新聞労連や民放労連、出版労連などマスメディア産業関連の産別労組9団体でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)と日本ジャーナリスト会議(JCJ)が共同で運営しているwebサイト「憲法メディアフォーラム」の開設4周年を記念して、5月9日…

学生の「スイッチオン」記事掲載が始まっています

新聞や放送、出版などのマスメディア、ネットやフリーランスで働くプロやメディア研究者らがデスク役となり、大学生の取材・記事執筆を指導する実験的ジャーナリズムの試み「スイッチオン」プロジェクト。7月1日からポータルサイトgooで、参加学生の記…

沖縄の基地負担の実相はどこまで知られているだろうか

きのう6月23日は沖縄の「慰霊の日」でした。沖縄戦で最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園で約4500人が参列し「沖縄全戦没者追悼式」が行われたことが報じられています。 「恒久平和願い沖縄戦追悼式 知事、基地負担軽減訴え」(47news…

異例の訴訟指揮を報じなかった大手紙〜「沖縄密約」はマスメディアも当事者

1972年の沖縄返還に際して、米国が負担することになっていた軍事施設の原状回復費400万ドルを日本が肩代わりするとの密約が日米両政府間で交わされていた「沖縄密約」問題をめぐって、今月16日に東京地裁で注目に値する出来事がありました。元毎日…

組織の問題として考えるべき海自・集団格闘死事件

以前のエントリーでも取り上げましたが、海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊」の養成過程で15人対1人の格闘訓練をしていた3等海曹が死亡した事件で動きがありました。海自警務隊が10日、教官ら4人を業務上過失地容疑で広島地検に書類送検しました。 「…

読書:「徹底検証 日本の五大新聞」(奥村宏 七つ森書館)

徹底検証 日本の五大新聞作者: 奥村宏出版社/メーカー: 七つ森書館発売日: 2009/03/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 59回この商品を含むブログ (8件) を見る 著者の奥村宏さんは株式会社論が専攻の研究者。1930年生まれで、産経新聞で9年間記者…

参加歓迎、8月1日に「スイッチオン」成果発表会

新聞や放送、出版などのマスメディアで働くプロやメディア研究者らがデスク役となり、大学生の取材・記事執筆を指導する実験的ジャーナリズムの試み「スイッチオン」プロジェクトは現在、学生のインタビュー取材と記事執筆が進んでいます。6月27日の全体…

週刊誌編集長のトーク記録

以前のエントリーで紹介したのですが、5月15日に東京・四谷の上智大学で、「闘論!週刊誌がこのままなくなってしまっていいのか」と題するイベントがありました。雑誌が次々に休刊・廃刊したり、雑誌記事が名誉棄損に当たるとして裁判所が高額の賠償を命…

そこに「読者」がいなければジャーナリズム足りえない〜スイッチオン「記事の書き方」ワークショップ

新聞や放送、出版などのマスメディアで働くプロやメディア研究者らがデスク役となり、大学生の取材・記事執筆を指導する実験的ジャーナリズムの試み「スイッチオン」プロジェクトの第2回全体ミーティングが30日午後、東京・池袋の立教大で開かれました。…

復帰37年、沖縄の基地と日本国民の総意

日付が変わって3日遅れのエントリーになりましたが、5月15日は37年前の1972年に沖縄が日本に復帰した日でした。沖縄で今年で32回目を数える「平和大行進」のニュースが伝えられています。※沖縄復帰37年で「平和行進」 「基地のない島」求め2…

自衛隊に何をどこまでさせるのか〜集団格闘死事件が問うもの

海上自衛隊には対テロなどを専門とする「特別警備隊」という特殊部隊が広島県江田島市にあります。その隊員養成課程で昨年9月、養成過程を辞めることが決まっていた当時25歳の3等海曹が、15人を相手にした格闘訓練中に倒れ、16日後に死亡する事件が…

読書:「『戦地』派遣 変わる自衛隊」(半田滋 岩波新書)

「戦地」派遣―変わる自衛隊 (岩波新書)作者: 半田滋出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/02/20メディア: 新書 クリック: 4回この商品を含むブログ (13件) を見る 著者の半田さんは1992年以来、防衛省(旧防衛庁)取材を手掛ける東京新聞編集委員。以…

BPO意見書が指摘するメディアの「内部的自由」の重要性

NHKと日本民間放送連盟(民放連)がつくっている第三者機関として放送倫理・番組向上機構(BPO)という組織があります。「言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理上の問題に対し、独立した第三者の…