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路線価上昇率、沖縄県が全国トップの5・0%~基地に依存しない経済

 国税庁が7月2日に公表した2018年の路線価で、前年比の上昇率は都道府県別では沖縄が5・0%でトップになりました。東京発行の新聞各紙の2日付夕刊では「訪日客の増加によるホテル需要の高まりやリゾート開発が影響しているとみられる」(日経新聞)、「那覇市では観光客の増加や人口増でホテルや店舗の建設が進み、周辺でも地価が上昇傾向という」(朝日新聞)などと紹介しています。
 朝日新聞は社会面でも沖縄の関連記事を大きく掲載。「伸びる沖縄 ホテル続々/路線価 観光客 ハワイ超え」の見出しとともに、沖縄の状況を伝えているほか、「基地跡の利用好調/好立地・大規模供給 強み」の見出しとともに、返還された米軍基地跡地の利用が好調との記事も載せています。その中では「翁長雄志知事が『今では米軍基地は沖縄の経済発展の最大の阻害要因』と主張するゆえんでもある」「かつて基地依存といわれた沖縄経済は様変わりしている」と指摘しました。
 日経新聞も社会面に関連記事を掲載。「17年度に沖縄を訪れた外国人は前年度比26・4%増の269万2千人で、10年連続で過去最高を更新。那覇市の中心地、土産物店や飲食店が連なる『国際通り』の路線価は、17年比で10・4%上昇した」と沖縄の活況を紹介しています。
 沖縄の基地集中の問題を巡っては、「地元は基地経済でもっている」との言説は誤解であることが様々に指摘されており、昨年7月には全国知事会でも取り上げられたと報じられています。

 ※沖縄県ホームページ「(よくある質問)米軍基地と沖縄経済について」
 http://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/chosei/kikaku/yokuaru-beigunkichiandokinawakeizai.html
 
 ※琉球新報「『基地経済でもつ』は誤解 知事会研究会が『沖縄の現実』報告」2017年7月29日
 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-544112.html

  岩手県で開催された全国知事会議は最終日の28日、「米軍基地負担に関する研究会」の座長を務める上田清司埼玉県知事が在沖米軍基地の現状や跡地利用の経済効果などを報告し「基地関連収入の比重は大幅に低下しており、『沖縄は基地の経済でもっている。基地とは離れられない』という話は誤解だと共通認識を持てるのではないか」と述べた。翁長雄志知事は「インターネットでは誤解に満ちた情報があふれている」と述べた。

 今回の「路線価上昇率5・0%で全国トップ」のニュースは、「地元は基地経済でもっている」との言説からいったん離れて、沖縄の経済の現状を客観的に見て、基地集中の問題をあらためて考え直してみるいい機会だと思います。