今度はカジノ解禁、民意に反して強行

 複雑怪奇な「参院6増」の次は、カジノ解禁です。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案は20日に参院本会議で可決、成立することが確実になりました。

 ※47news=共同通信「カジノ法案、参院委可決 与党、20日成立方針」2018年7月19日 

https://this.kiji.is/392487209334244449?c=39546741839462401

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案は19日の参院内閣委員会で、与党などの賛成多数により可決された。カジノ解禁に反対する野党は、内閣不信任決議案を20日に衆院へ提出して抵抗する方針だが、否決となる見込み。ギャンブル依存症の防止策や治安対策といった多くの課題を残したまま、与党の方針通り、20日に開かれる参院本会議での法成立が確実となった。 

 どう言い繕ってもバクチはバクチです。現在は法律で禁止している行為です。依存症を始めとして、カジノ解禁に対する様々な危惧が指摘されています。それらの点もさることながら、もっとも問題だと思うのは、カジノ解禁を民意が望んでもいなければ、認めてもいない点です。
 仮に、様々な危惧が指摘されていても解禁論が世論の多数を占めるのであれば仕方がない、という考え方もあるかもしれません。しかし、最近の世論調査では、例えば朝日新聞が7月14、15両日に実施した調査では、この法案について「今の国会で成立させるべきだ」と答えた人は17%なのに対し「その必要はない」は76%でした。「世論を二分」どころか、反対ないし慎重意見が圧倒しています。これが最大の問題ではないかと感じています。本来は、国会を挙げて、西日本豪雨の被害の対策、防災対策に全力を挙げるべきでしょう。

【追記】2018年7月20日7時40分
 タイトルを「今度はカジノ解禁、民意に反して巨大与党が強行」から変更しました。野党の日本の維新の会も賛成したことを考慮しました。

「参院6増」成立、巨大与党が押し切る

 参院の議員定数を6増やすとともに、比例代表に「特定枠」を設けて、得票数に関係なくあらかじめ決めておいた順位に従って当選とする仕組みを盛り込んだ改正公職選挙法が7月18日、衆院本会議で可決、成立しました。賛成は自民、公明両党のみ、野党各党や無所属議員は反対し、自民党の船田元議員は採決時に退席したとのことです。
 法改正は自民党の案で、「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区ではじき出される候補を特定枠で救済するのが主な目的だとされます。複雑で分かりにくい仕組み、筋が通らず合理的な理由が見出せない6議席増などに対して、「自民党の党利党略」とさんざんに批判され、参院通過後は「自民党内にも異論」との報道もありました。世論調査でも反対が賛成を上回り、自民党の政策には支持や理解を示すことが多い読売新聞や産経新聞も批判的な論調を示していました。にもかかわらず、巨大与党が押し切りました。これまでも、「共謀罪」の趣旨を含んだ改正組織犯罪処罰法や集団的自衛権の行使を容認した安保法など、世論が割れた法案を数の力で強引に押し通してきましたが、今回は選挙制度という民主主義の根幹にかかわる事柄です。軽視できません。
 ※参院を通過した際のこのブログの記事です 

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 東京発行新聞各紙の19日付朝刊では、朝日、毎日、読売、東京の4紙が1面トップの扱い、日経、産経も1面でした。主な記事の見出しを書きとめておきます。

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 ▼朝日新聞
1面トップ「参院定数6増 成立/来夏から適用 自公が押し切る」
3面「異論残し 参院6増/拙速批判 自民から造反」/「『熟議なく残念』 経済同友会・代表幹事」
3面「自ら抜本改革、困難」竹中治堅・政策研究大学院大学教授(政治学)
4面「採決の目安? 審議時間とは」

▼毎日新聞
1面トップ「参院6増 自公強行/野党 内閣不信任案提出へ/改正公選法成立」
1面・解説「国民の合意なく」
3面・クローズアップ「自民、露骨な党利党略/選挙制度改革 18年前と同じゴリ押し」「衆参委審議わずか9時間」「合区解消への改憲 不急」

▼読売新聞
1面トップ「参院定数6増 成立/改正公選法 比例選に『特定枠』」
4面「特定枠利用 自民のみか/野党は批判、活用否定 公明も苦言/自民、候補調整を加速」「自民・船田氏が棄権」
10面・1ページ特集「基礎からわかる参院6増」

▼日経新聞
1面「参院6増法が成立/来夏から適用 比例代表に『特定枠』」
3面「定数減の流れに逆行/参院6増、与党からも批判」
3面「自民の党利党略」中北浩爾・一橋大教授/「現職救済を優先」岩崎美紀子・筑波大教授
社説「この参院選改革はごまかしだ」

▼産経新聞
1面準トップ「参院6増 来夏適用へ/『一票の格差』是正 改正公選法成立」
2面「参院6増 野党に恩恵も/見えぬ改憲、抜本改革先送り」/「自民・船田氏『拙速』と棄権」
5面「自民、60人前後 1次公認へ/『70歳定年制』対象7人/参院選」

▼東京新聞
1面トップ「参院6増法 成立/自民 約束守らず強行/定数減『身を切る改革』 選挙制度抜本見直し」
2面・核心「自民『合区』議員救済狙い/特定枠 少ない票数で当選も」/「自民船田氏が造反/『国民に理解されない』」
2面「安倍政権のおごり」新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)/「本質議論が不十分」飯尾潤・政策研究大学院大教授(政治学)

大阪市職員調査で「人権侵害」、野村修也弁護士を懲戒~当時の橋下徹市長が労組敵視

 唐突感のあるニュースが目に止まりました。

 ※47news=共同通信「野村修也弁護士を懲戒 調査でプライバシー侵害」2018年7月17日
 https://this.kiji.is/391791297529398369?c=39546741839462401

 第二東京弁護士会は17日、大阪市が2012年に実施した労働組合に関するアンケートで職員のプライバシー権を侵害したとして、責任者を務めた野村修也弁護士(56)を業務停止1カ月の懲戒処分とした。 

 2012年当時、わたしは大阪勤務でした。2011年12月に橋下徹・大阪府知事(当時)が辞職して大阪市長選に出馬し当選。その後まもなく、市職員の労働組合に対して、市長として強硬姿勢を露わにしました。このアンケート問題もその一環でしたが、当時、あまりにも問題が多いとの批判があり、日弁連も中止を求める会長声明を出すほどでした。このアンケートがどういう経緯で実施されていたか、このブログに2012年2月当時に書いた記事から引用します。 

 アンケートは、市長就任直後から市職員労組に厳しい姿勢を取っている橋下氏が、昨年11月の市長選で組合が前市長支援のため大規模な職員リストを作成していた疑いが浮上したことなどを受けて、労組の政治活動の実態調査として実施を決めたと伝えられています。記名式で、正確に回答しない場合は処分対象になるとしていたり、組合活動への参加歴や、特定の政治家を応援する活動に参加したことがあるかなどを問うたりしていることから、今月10日の開始以降、「憲法違反の思想調査」「組合への不当な支配介入」などの批判が市役所内外から相次ぎました。連合系の大阪市労連が13日、不当労働行為に当たるとして、府労働委員会に救済を申し立て。労働団体が次々に中止・撤回を求める声明を発表したほか、14日には大阪弁護士会、16日には日弁連も会長声明を発表して中止を求めていました。   

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 今回、懲戒処分を受けた野村弁護士は当時の橋下徹市長の強い意向で、12年1月に大阪市特別顧問に就任。2月には、市職員が政治や選挙活動に参加しているかを調べる第三者調査チームの責任者を務めていました。
 第二東京弁護士会のサイトにはまだこの懲戒処分はアップされておらず(7月18日未明現在)、懲戒理由の原文は不明です。朝日新聞のサイト上の記事が比較的、詳しいので一部を引用します。 

 ※朝日新聞デジタル「大阪市職員への調査、責任者の弁護士を懲戒 橋下市長時」=2018年7月17日
 https://www.asahi.com/articles/ASL7K3W9HL7KUTIL01M.html 

 同弁護士会はアンケートの質問について「職員の団結権、プライバシー権、政治活動の自由の侵害など、憲法や労働組合法に違反する内容が記載されている」と指摘。橋下氏が市職員に「回答しない場合は処分対象になり得る」と職務命令を出していたことにも触れ、質問項目や実施方法を考慮すると、基本的人権を侵害し、弁護士の「品位を失うべき非行」にあたると結論づけた。
 同弁護士会は約660人から野村弁護士に対する懲戒請求を受け、審査していた。 

 わたしが関心があるのは、野村弁護士は懲戒処分が相当と判断したとして、第二東京弁護士会が橋下前大阪市長の責任はどう考えているのか、何か見解を示しているのかどうかです。2012年当時の記憶をたぐれば、アンケートの具体的な内容は野村弁護士が作成したとしても、橋下前市長自身が、調査の最終的な責任は自分にあると主張していたと思います。何より、市職員に組合活動を含めた調査を行う、という発想自体、橋下前市長の市職員労組への敵視から出ていました。アンケートに「職員の団結権、プライバシー権、政治活動の自由の侵害など、憲法や労働組合法に違反する内容が記載されている」のは、いわば橋下前市長の意向を野村弁護士が忠実に反映させた結果だったとも言えるように思います。
 もちろん、弁護士会が懲戒相当の判断を示すのは会員の弁護士に限定されます。ただ、当時の野村弁護士と橋下前市長の関係から見れば、野村弁護士が「基本的人権を侵害した」との責めを負うのだとすれば、橋下前市長も市長の政治的責任という意味で批判は免れ得ないだろうと思います。

 冒頭に「唐突感のあるニュース」と書いたのは、アンケートの実施から6年以上もたっているからです。審査になぜこうも時間が掛かったのか、と思っていましたが、SNSを通じて弁護士の方からていねいな解説をいただきました。手続きを踏んで調査を進めると、これぐらいの時間はかかるようです。また、弁護士の業務として受任した事件処理ではない事項で、弁護士会が弁護士自治の中で懲戒相当の結論を出した点も、注目に値すると感じます。それほど、人権侵害の度合いが強いと判断したということでしょうか。

 野村弁護士への懲戒処分の記事は、東京発行の新聞各紙の7月17日夕刊では朝日新聞、日経新聞、東京新聞が掲載していますが、いずれも見出し1段の小さな扱いです。6年以上も前の行為への処分であること、既に橋下前市長は政界から距離を置いていることなどから、東京では大きな扱いにならないのでしょう。ただ、当時の橋下市長の市職員労組攻撃はあまりに度を超えていると、大阪の地に身を置きながら感じていました。野村弁護士は日弁連に不服を申し立てるとのことですが、弁護士会が人権侵害を認め、懲戒処分が相当との判断を示したことには、わたしには納得感があります。橋下市長誕生直後の、当時の大阪のある種高揚した雰囲気を知る人にとっては、ニュースバリューが大きいと思います。
 当時の橋下市長の市職員労組への攻撃がどんなものだったか、わたしがどういう風に「度を超えている」と感じていたか、少し長くなりますが、当時のブログ記事の一部を引用して紹介しておきます。 

 大阪以外の地域ではどのように報道され、どの程度知られているのでしょうか。大阪市の橋下徹市長が28日に市議会で行った就任後初の施政方針演説の中で、市職員の労組に敵意をむき出しにし、“適正化”に執念を燃やすと表明しました。産経新聞のサイト「産経ニュースwest」にアップされている演説の詳報によると、橋下氏は「市役所の組合問題にも執念を燃やして取り組んでいきたいと考えております。市役所の組合体質はやはり、おかしいと率直に感じます。庁舎内での政治活動は許されません」「大阪市役所の組合の体質というものが、今の全国の公務員の組合の体質の象徴だと思っています」「大阪市役所の組合を徹底的に市民感覚に合うように是正、改善していくことによって、日本全国の公務員の組合を改めていく、そのことにしか日本の再生の道はないと思っております」などと述べ「大阪都構想と組合の是正、これによって日本再生を果たしていきたいと思っております」としています。
 (中略)
 やはり公務員に対するスタンスは変わっていなかったということでしょうか。橋下氏や大阪維新の会の特徴の一つは、公務員や教職員に対する厳しいスタンスで、時に「敵意」と表現してもいいほどの激しさも感じます。公務員、ないしは公務員組織を代表する労組に対する厳しい姿勢は「民意を体現しているのは選挙で選ばれた自分である」との強烈な自負に因っているのだと思います。これまで通りに、橋下氏は大阪市長としても公務員に厳しく服従を求めていくのでしょう。そして職員の労組に対しては、徹底的に対決姿勢で臨む、そのことを宣言した演説でした。
  しかし、この橋下氏の施政方針、中でも「日本全国の公務員の組合を改めていく、そのことにしか日本の再生の道はない」との主張には、いくらアドリブとはいえ、唐突感・違和感を持つ人は少なくないのではないでしょうか。バス運転手の勤務時間外の組合活動についても、それが組合内で組織的に奨励されていたのならともかく、まずは個別事例として調査と指導なり処分なりが行われるべきで、事務所の退去を求める必要があるかどうかを判断するのはその後でも遅くありません。会見の詳報を見ると、橋下氏は組合から市民の代表である自分に直接の謝罪がないことにこだわっているようですが、そこに「職員は自分の使用人」との感覚がないか気になります。「大阪市役所の組合の体質というものが、今の全国の公務員の組合の体質の象徴」との主張についても、この演説からは根拠がよく分かりません。  

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【追記】 20187月18日8時5分
 手元の7月18日付朝刊では朝日、毎日、読売の3紙とも社会面の短信で野村弁護士の懲戒処分を伝えています。それぞれ見出しは朝日「大阪市職員アンケ弁護士処分」、毎日「プライバシー侵害、弁護士懲戒処分」、読売「大阪市元特別顧問を懲戒処分」。各紙とも大阪本社発行の紙面では違った扱い、見出しなのかもしれません。仮に報道の扱いは小さいとしても、熱烈な支持があった“橋下政治”を再検証しようとする際に、第二東京弁護士会の判断はいろいろ参考になり、その意義は小さくないだろうと思います。

辺野古ゲート前に新たな柵、「表現の自由を保障せよ」(琉球新報社説)

 沖縄県名護市辺野古では、米軍普天間飛行場の移設先となる新基地の建設を日本政府が進めています。工事車両は辺野古の米軍キャンプ・シュワブを出入りします。工事車両用ゲート前では連日、新基地建設に抗議する市民らが工事車両の進入を妨げようと座り込み、警備の機動隊に排除される、ということが繰り返されてきました。そのゲート前で防衛省が7月14日深夜から15日朝にかけて、新たな柵を設置したため、座り込みができるスペースがなくなったと報じられています。3連休初日の深夜からの出来事です。抗議の市民らは不意打ちと受け止めただろうと思います。表現の自由に関わる問題であり、沖縄県外でも広く知られていいニュースだと感じます。以下は琉球新報と沖縄タイムスのサイトからの引用です。

▼琉球新報
「辺野古ゲート前に新たな柵 国、土砂投入抗議激化備え」=2018年7月15日
 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-762027.html 

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り反対する市民が座り込む米軍キャンプ・シュワブのゲート前で、沖縄防衛局は14日午後11時ごろ、新たな柵を設置する作業に着手した。作業が完了すれば、抗議する市民が工事車両の進入を阻止するために座り込むスペースが縮小される見込み。
 政府は8月17日にも辺野古沖に初めて土砂を投入させる予定で、埋め立て工事を本格化させている。抗議活動の激化に備え、資材の搬入を円滑にして基地建設を加速させる狙いがあるとみられる。 

「二重の柵、抗議排除 辺野古ゲート前42メートル 防衛局、深夜に設置」=2018年7月16日
 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-762377.html 

 沖縄防衛局は、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ前の工事車両用ゲート前で進めていた新たな柵の設置について、15日午前6時までに作業を終えた。柵は新基地建設に反対する市民が抗議活動で使ってきた場所に設置され、事実上、座り込みの抗議はできなくなった。政府は8月17日にも海に土砂を投入して建設工事を本格化させる予定だが、建設への抗議の声を上げる場も奪う形となり、市民の反発がより激しくなるのは必至だ。 

▼沖縄タイムス
「一晩で歩道の幅が1メートルに 防衛局『安全のため』 市民『表現の自由をつぶす』」=2018年7月16日
 http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/283937 

 沖縄防衛局が14日深夜から15日朝にかけ、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ工事用ゲート前で進めた柵の工事で、歩道の幅が約1メートルに狭められ、新基地建設に反対する市民が座り込むスペースがなくなった。土砂の本格投入を控え、抗議行動を封じる動きに、市民は「表現の自由をつぶすもの」と反発。防衛局は工事目的を「歩行者と車両の安全のため」と説明した。 

▼沖縄タイムス
「新基地建設に抗議のスペースつぶされた 市民、再び『夜襲』に怒り」=2018年7月16日
 http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/283941 

 沖縄防衛局がまた不意打ちに出た。3連休初日の14日深夜、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前で突如始まった工事で、新基地建設に抗議するスペースがつぶされた。駆け付けた市民は「夜襲は防衛局の得意技。もう何度目か」とあきれつつ、「抗議の声を上げることすら許さないのか」と批判した。 

 琉球新報は16日付で社説を掲載し、日本政府を批判しています。
※琉球新報:社説「辺野古に新たな柵 表現の自由を保障せよ」
 https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-762332.html 

 設置作業は3連休前の深夜に実施された。市民の目が届きにくい時間帯で、夜陰に乗じた行為と言える。
  国家機関が日中に堂々と作業できないのは、抗議活動を恐れているだけではなく、新基地建設が民意に背いたものだという後ろめたさを自覚しているからだろう。
  抗議活動の裏をかく沖縄防衛局の卑怯なやり方は、何度も見せつけられてきた。
  2011年の年末には、仕事納めの日の午前4時に環境影響評価書を県庁の守衛室に運び込んだ。13年3月の埋め立て申請は、県北部土木事務所の別の課に書類を置いて去った。14年7月のシュワブへの資材搬入は午前2時すぎ、トラック42台での不意打ちだった。15年1月にも仮設桟橋用資材を夜間に運び込んだ。
  不意を突き県民を出し抜く手法は沖縄防衛局の常とう手段になっている。国家として恥ずべき行為だ。
  今回の柵設置は、8月17日の土砂投入に向けて、政府が焦っている表れだろう。
  琉球新報が昨年9月に実施した世論調査では80%が普天間飛行場の県内移設に反対している。民意を無視した政府の新基地建設強行は到底許されるものではない。
  抗議活動は憲法21条に保障された表現の自由の行使である。ビラや集会、デモ行進、座り込みといった一切の言論・表現の自由を、憲法は前提条件なしに保障している。市民が異議を申し立てる最低限の政治手法でもある。非暴力である以上、規制されるべきではない。 

 工事は、共同通信も新聞向けに15日未明に記事を配信しています。東京新聞は16日付朝刊で掲載したようです。
 ※東京新聞「辺野古に新たな柵設置 ゲート前、抗議激化に備え」
  http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201807/CK2018071602000137.html

 手元にある朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の15日付、16日付の各朝刊の紙面(いずれも東京本社発行の14版)には、関連の記事は見当たりません。

安倍政権5年半「他に期待できる人や政党ない」69%(朝日新聞調査)、内閣不信任「値する」49・5%(時事通信調査)

 朝日新聞が7月14、15両日に実施した電話世論調査の結果が報じられています。安倍晋三内閣の支持率は38%で前回6月の調査から変動なし、不支持率は2ポイント減の43%。5カ月連続で不支持が支持を上回ったとのことです。
 時事通信が7月6~9日に実施した世論調査では、安倍内閣の支持率は前月比1・5ポイント増の37.0%、不支持率は2・5ポイント減の40.9%でした。支持率上昇は5カ月ぶりながら、やはり不支持が支持を上回る状況は5カ月続いているとのことです。
 時事通信の調査は毎回、面接で実施しており、他の新聞社の月例の電話調査とは方法が異なるのですが、支持、不支持とも朝日の調査結果とおおむね同水準であり、安倍内閣の実際の支持状況をおおむね示しているのではないかと思います。
 内閣支持の理由を訪ねた設問で最多の回答は、一つを選ぶ朝日新聞調査では「他よりよさそう」53%、「政策の面」18%、「自民党中心の内閣」16%の順。複数回答が可能な時事通信調査では「他に適当な人がいない」16・8%、「リーダーシップがある」8・9%、「首相を信頼する」7・8%の順でした。
 朝日新聞は、安倍政権が5年半続いている理由も尋ねています。回答は四つの選択肢から一つ選ぶ方式で、最多は「他に期待できる人や政党がないから」69%でした。ちなみに安倍首相の5年半の実績全体については「大いに評価する」7%、「ある程度評価する」52%で「評価する」が計59%に対し、「あまり評価しない」30%、「まったく評価しない」10%で「評価しない」は計40%でした。時事通信は、森友・加計学園などの問題への安倍内閣の対応が不信任に値するかどうかを尋ねました。結果は「値する」49・5%、「値しない」28・1%。時事通信の記事では「政権不信が根強いことが浮き彫りになった」と指摘しています。

 朝日新聞調査の「質問と回答」を読み進んで行って「おや」と思ったのは、最後にメディアに関して尋ねていることです。「あなたが、政治や社会の出来事についての情報を得るとき、一番参考にするメディアは何ですか」との問いに対して、回答は「テレビ」44%、「インターネットのニュースサイト」26%、「新聞」24%、「ツイッターやフェイスブックなどのSNS」4%でした。関連記事では、年代別の動向とともに、内閣支持の動向とのいわゆるクロス集計結果を紹介しており、最も内閣支持率が高かったのは「SNS」と答えた層で48%(不支持率22%)、次に「ネット」と答えた層は42%(同38%)、「テレビ」は38%(同41%)、「新聞」は32%(同54%)とのことです。
 記事では、麻生太郎・副総理兼財務相の「新聞を読まない人は、全部自民党なんだ」との発言を紹介しており、発言の検証の試みとしてこの質問を設けたことがうかがわれます。
 ※朝日新聞デジタル「SNS参考にする層ほど内閣支持率高め 朝日世論調査」2018年7月16日
 https://www.asahi.com/articles/ASL7H5Q0HL7HUZPS009.html

 そのほか朝日新聞の調査で、目に付いた個別の設問と回答状況を書きとめておきます(単位は%)。

◆今回、西日本を中心に大きな被害をもたらした豪雨災害について、あなたは、安倍内閣の対応を評価しますか。評価しませんか。
 評価する 32
 評価しない 45
 その他・答えない 23

◆与党は、参議院の定数を六つ増やす公職選挙法の改正案を、今の国会で成立させる方針です。この改正案は、比例区では優先的に当選できる枠を新たに設けて定数を増やし、選挙区でも一票の格差を是正するために定数を増やします。あなたは、この改正案に賛成ですか。反対ですか。
 賛成 24
 反対 56
 その他・答えない 20

◆安倍首相の友人が理事長を務める、学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る問題についてうかがいます。これまでの安倍首相や加計理事長の説明によって、加計学園が優遇されたのではないかという疑惑は晴れたと思いますか。それとも、疑惑は晴れていないと思いますか。
 疑惑は晴れた 8
 疑惑は晴れていない 83
 その他・答えない 9

 

【追記】 2018年7月16日12時25分 

 朝日新聞の関連記事「SNS参考にする層ほど内閣支持率高め」は、ネット上のサイトのみの記事でしょうか。手元にある16日付朝刊(東京本社発行14版)の紙面では、メディア関連の質問については2面掲載のサイド記事「豪雨 内閣対応『評価』32%」の末尾に簡単に紹介されているだけです。

加藤剛さん、桂歌丸さんの戦争体験

 俳優の加藤剛さんの訃報が伝えられました。6月18日死去、享年80歳とのことです。謹んで哀悼の意を表します。
 東京発行の新聞各紙は7月10日付朝刊に記事を掲載しています。その中で、「反戦平和を訴え続け」の見出しが付いた東京新聞の「評伝」が目にとまりました。書き出しの部分を引用します。

 亡くなった加藤剛さんは反戦平和を訴え続けた俳優だった。その原点は、戦時中の体験にある。軍医だった義兄が戦死し、姉は適切な治療を受けることもなく病死した。
 二十四歳でテレビドラマ初主演となった「人間の条件」では、戦時下の過酷な状況でも人間としての良心を貫こうとする青年を公演。メディアの取材に「『人間の条件』で、平和な世の中をつくり、戦争に反対することが、僕の俳優という仕事の基本になりました。以来、どの作品に出ても平和のために自分は何ができるかと考えてきました」と話した。

 加藤剛さんといえば、芸能の話題には詳しくないわたしでも、実直で誠実な人柄で知られていたことは、承知しています。その根底に「平和のために」との思いがあったのだということがよく分かりました。
 著名人の死去は、その生前の活躍の歩みに、それぞれの人が自分の人生を重ねてしのぶ、例えば俳優なら「主演のあの映画を見たのは自分が大学生のときだった」と自分史とともに振り返るニュースです。若い世代であれば、直接は知らないけれども、父母や祖父母らが生きた時代に思いをはせる、その時代を追体験する、そういうニュースだろうと思います。
 戦後の日本社会を生きた人たちの間で、最大の共有体験だったのは1945年に日本の敗戦で終わった戦争です。戦争体験の風化が指摘される現在、戦争を知る世代の著名人の戦争体験を紹介することには、大きな意義があると思います。

 7月2日に81歳で死去した落語家の桂歌丸さんは日本の敗戦時、9歳でした。生前、NHKの取材に対して、戦争への思いを語っていたことを知りました。

※「私の中の戦争 落語家 桂歌丸さん ~疎開の日々そして…~」
  戦争を伝える/語り継ぐ/特報首都圏 神奈川/2015年4月3日
  https://www.nhk.or.jp/shutoken/miraima/articles/00039.html 

 「人にそんなこと(戦争について)伝えられません。それは個々に感じることです。自分自身で経験して自分自身で判断しているんです」
 「伝えていくべきだとは思いますけれども、話をしただけでは分かってくれないですよね。食糧難時代というものがどういうもんだったのか。あるいは焼夷弾というものがどういう落ち方をして、爆弾というものがどういうふうに落ちたのか。そして進駐軍というのが戦後になって乗り込んできてどういう思いをしたのか。口では言えますけれども、ご存じないからそれは身を持って体験することはできません。けれども伝えていくべきだと思います、私は。決して忘れてはいけないこと。日本は二度と再びああいう戦争は起こしてもらいたくないと思いますね。あんなものは愚の骨頂です。世界中が本当の平和にならなきゃいけない時代が早くこなくちゃならないと思っていますね」 

 あらためて、哀悼の意を表します。

西日本豪雨1週間、政権の対応なお検証必要

 西日本豪雨は、7月6日に広範囲で大雨特別警報が発令されてから13日で1週間。警察庁の集計で死者は200人を超え、なお多くの行方不明者の捜索が続いています。東京発行の新聞各紙も13日付朝刊では関連記事を大きく展開しました。朝日、毎日、読売、産経、東京の5紙はいずれも1面トップ。各紙の1面の見出しを書きとめておきます。※日経新聞は本記2面

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・朝日新聞
「犠牲者 7割が60代以上/西日本豪雨 死者200人に/きょう1週間/土砂崩れ71人、氾濫・転落59人」
・毎日新聞
「死者189人 不明者68人/7000人なお避難」
連載企画:緊急報告 西日本豪雨(上)「生きなかった教訓」
・読売新聞
「15府県 避難なお7085人/死者188人 不明72人/西日本豪雨1週間/鉄道26路線運休 休校257校」
・産経新聞
「豪雨死者200人 発生1週間/ため池 決壊の危険/瀬戸内地方に全国の半数が集中/進む老朽化・打つ手なし」
・東京新聞
「死者200人 不明60人超/西日本豪雨1週間 避難7000人」
「捜索難航・被災者の心身限界/『想像できぬ被害』/不眠や熱中症 次々」
「豪雨対応『万全』だったか/気象庁会見の夜宴会/3日後 対策本部/野党は政権批判」

 目を引くのは、「安倍政権の対応に野党から批判が出ている」との書き出しの東京新聞の記事です。気象庁が会見して厳重な警戒を呼びかけた7月5日その日の夜、安倍晋三首相らが自民党内の宴会「赤坂自民亭」に参加していた一方で、首相が参加した関係閣僚会議の開催は2日後の7日に、政府が「非常災害対策本部」を設置したのは3日後の8日だったことをあらためて紹介しています。この間の経過の表も併用しています。
 安倍首相の11日からの外遊中止が決まったのは9日だったことなども含めて、首相や周辺にとっては当初、豪雨対応よりも秋の自民党総裁選や政権浮揚が大きな関心事だったようにも思えます。被害の深刻さを見誤ったのでしょうか。もしも、政権の取り組みが違ったものになっていれば、どういうことが期待できたのか。この間の安倍首相と政権の対応、動きに対しては、今後もなおマスメディアの検証報道が必要だと感じます。

 あらためて、亡くなられた方々に哀悼の意を表し、被災された方々にお見舞い申し上げます。