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新聞とテレビの「断末魔」〜週刊東洋経済が特集

週刊 東洋経済 2010年 2/20号 [雑誌]

週刊 東洋経済 2010年 2/20号 [雑誌]

 今週発売の週刊東洋経済(2月20日号)が「新聞・テレビ 断末魔 再生か破滅か」と題した特集を組んでいます。表紙には「大手新聞は軒並み赤字転落!焦土からの再生は可能か」。
 内容は盛りだくさんで、目次からいくつか紹介すると大手紙については「有料モデルに乗り出す日経新聞の勝算」「独り元気な読売新聞。憔悴深まる朝日新聞」「毎日が共同通信に加盟。新聞界はどう変わる?(毎日、共同の社長インタビュー)」。地方紙も高知新聞信濃毎日新聞(長野)、佐賀新聞東奥日報(青森)など8紙を取り上げて「地方紙のサバイバル戦略」としてまとめています。テレビは「テレビ局で強まる“再編”への圧力」や広瀬道貞・民放連会長や氏家齋一郎・日本テレビ会長のインタビューなど。
 昨年12月にスタートしたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)日本版を運営するWSJジャパンの北尾吉隆・代表取締役のインタビューなど、ネット上の有料化モデルを指向する最近の新聞界の傾向を手厚く紹介しているのが目を引きました。以前のエントリーで紹介した「FREE」の著者クリス・アンダーソン氏や、クロス・オーナーシップの制限構想に熱心な原口一博総務相のインタビュー、米国や英国の新聞事情のレポートも掲載されています。
 総じて、新聞の苦境が一通り理解できる特集です。折りしも2011年春採用の大学生らの就職活動が始まったところですし、将来の仕事として新聞を考えている学生さんには役に立つのではないでしょうか。仕事が忙しく、新聞を取り巻く外部環境を客観的に眺める余裕がないままの編集現場の記者たちにも有用だと思います。正直なところ、読後に出るのはため息ですが、仕事としての「新聞記者」の将来を考えるには、まず現状を知ることが必要です。
 ちなみに昨年1月に週刊東洋経済が組んだ特集は「テレビ・新聞 陥落」でした。「陥落」から「断末魔」ときて、次は何でしょうか。

※参考過去エントリー
 「新聞記者は『血の粛清』後、プロとして残れるのか〜読書『フリー<無料>からお金を生みだす新戦略』」
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20100213/1266039828

※北尾氏のインタビュー記事の見出し「WSJの敵は日経 5年で抜いて見せる」に対してツイッター上で北尾氏が不満を漏らしています。
 http://twitter.com/yoshitaka_kitao/status/9125413403
 対して週刊東洋経済側もツイッター上で。取材先と取材者の編集をめぐる応酬がツイッターによって可視化されました。
 http://twitter.com/Oboest/status/9129696842