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最も重視「基地問題」が45%で最多〜沖縄タイムス、朝日新聞などの沖縄知事選世論調査 ※追記・琉球新報調査でも「基地」46・8%

 米軍普天間飛行場の移設問題が最大争点になっている沖縄県知事選は16日の投開票まであと1週間です。きょう9日付の沖縄タイムスは、朝日新聞社琉球朝日放送(QAB)と合同の情勢調査と県内の世論調査の結果を掲載しています。本記はネット上の沖縄タイムス社のサイト上にアップされています。冒頭部を引用します。
沖縄タイムス「翁長氏優位 仲井真氏追う 知事選・中盤情勢」2014年11月9日
 http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=89846

 沖縄タイムスは7、8の両日、朝日新聞社琉球朝日放送(QAB)と合同で、16日投開票の沖縄県知事選に関する情勢調査を実施し、告示後の中盤情勢を探った。前那覇市長の翁長雄志氏(64)が優位に立ち、現職の仲井真弘多氏(75)が追っている。元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)は伸び悩んでおり、前民主党県連代表の喜納昌吉氏(66)も支持の広がりが限定的だ。ただし、有権者の3割近くが投票態度を明らかにしておらず、終盤にかけて情勢が変わる可能性もある。
 情勢調査と同時に実施した県内の世論調査では、投票する人を選ぶ際に最も重視する政策は、基地問題が45%で最も多かった。経済の活性化が38%で続いた。
 本紙が琉球放送(RBC)と合同で実施した告示前調査と同様の傾向が示されており、今回の知事選の特徴がより鮮明になった。

 候補者間の優劣もさることながら、わたしが目を引かれたのは世論調査の「投票する人を選ぶ際に最も重視する政策は、基地問題が45%で最も多かった」との部分です。
 朝日新聞の東京本社発行紙面(手元にあるのは14版=最終版です)にも、同じ調査を基にした記事が掲載されています。候補者間の優劣の選挙情勢は1面に見出し2段の扱いですが、別に世論調査の記事を4面(政治面)に「『基地問題』重視45%に増」の3段見出しとともに掲載しています。
 それによると、2010年の前回知事選、2006年の前々回知事選の世論調査では、「知事選で何を一番重視するか」の設問に対して、もっとも多かった回答は「経済の活性化」で5割前後を占めました。「基地問題」はともに2位。今回は逆転し「基地問題」45%、「経済の活性化」38%とのことです。この変化は、沖縄タイムスが「今回の知事選の特徴がより鮮明になった」と指摘する通りだと思います。朝日の記事によると、普天間問題をどのように解決するのが望ましいか、との問いの答えでは「県内移設」19%、「本土移設」18%、「国外移設」53%。前回の知事選の時とあまり変わらない、とのことです。
 ちなみに「本土移設」と「国外移設」を合計して「県外移設」と仮にみなせば71%です。前回の記事(「普天間飛行場『県内移設反対』73・8%〜琉球新報・OTVの世論調査」)で紹介した琉球新報社沖縄テレビ放送(OTV)の世論調査結果とおおむね同じ結果と言っていいと思います。
 9日付の朝日紙面は社会面にもトップの扱いで「基地マネーに翻弄され」の見出しとともに沖縄の経済問題を3本の記事でリポートしています。ほかに知事選では連日社会面に「2014沖縄知事選」のカットを付け、日本本土の各地と沖縄の米軍基地とのかかわりを取り上げるシリーズ記事も掲載。この日は陸上自衛隊東富士演習場に米軍輸送機のオスプレイが飛来する静岡県御殿場市でした。


【追記】2014年11月12日
 琉球新報沖縄テレビ放送(OTV)と8、9の両日、電話による世論調査を実施し、取材や1、2の両日の前回調査結果を加味した情勢記事を11日付でアップしています。翁長氏の先行は変わらず、現職の仲井真氏が追い上げる展開が続いている、と報じています。
琉球新報「翁長氏先行、仲井真氏追う 琉球新報・OTV世論調査」2014年11月11日
 http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-234359-storytopic-122.html
 世論調査で「候補者を選ぶ際に最も重視すること」の設問への回答は「『普天間飛行場などの基地問題』が46・8%で最も高く、『経済振興や雇用対策』(21・9%)、『医療や福祉の問題』(9・7%)、『子育てや教育の問題』(9・1%)と続き、1週間前の調査とほぼ同傾向だった」とのことです。