東京新聞が東京MXテレビ、JX通信社と合同で東京都民を対象に5月22、23両日実施した電話世論調査で、菅義偉内閣の支持率が16.1%、不支持率が64.4%だったことが話題になっています。その1週間前、15、16日に朝日新聞が実施した調査では「支持」33%、「不支持」47%、同時期の共同通信の調査では「支持」41.1%、「不支持」47.3%でした。毎日新聞と社会調査研究センターの22日の調査では「支持」は31%。他の調査では支持が急落したとはいえ30~40%台を保っているのに、16.1%は群を抜いて低い水準です。
東京新聞の報道によると、調査はコンピューターで無作為に発生させた固定電話の番号に電話を掛ける方式(RDD法)。東京都民に限定するために、携帯電話番号は除外したようです。そのことと関連がありそうですが、回答者1000人のうち10~30代は計5%余と少なく、40代から70代までは各世代でそれぞれ20%前後とほぼ均等だったとのことです。他社の全国調査とのこうした違いを考慮しても、結果にここまで大きな差が出るものかと思っていたのですが、東京新聞の25日付紙面の詳報(質問と回答)を見て「なるほど、やっぱりそうか」と思いました。
全国紙などの定例の世論調査では、最初に内閣の支持、不支持を尋ねています。次いでその理由や支持政党を聞きます。毎回、同じ尋ね方をし、支持率の推移を継続してみるためとされます。しかし、今回の東京新聞などの調査では、内閣の支持、不支持を尋ねる質問は全10問のうちの9番目です。最後の質問は支持政党です。
まず最初に、東京五輪・パラリンピックをどうするのがいいと考えるかを尋ね、次いで五輪についての菅首相の説明に納得できるかどうか、政府の新型コロナウイルス対策への評価、東京都による休業、時短、外出自粛の要請への評価などを聞いていきます。回答者は、質問に順次答えていくうちに、菅政権や都政への評価を頭の中で整理できていくのではないでしょうか。8問目は小池百合子都知事への評価ですが、「大いに」と「ある程度」を合わせて「評価する」が52.8%でした。
わたしはかねてから、マスメディア各社の全国電話世論調査の結果を見ながら、内閣の支持、不支持を質問の最後に持って来れば、内閣支持率は違った結果になるはずだと思っていました。東京新聞などの今回の調査結果は、そのことを一定程度、実証しているように思います。
最後の質問の政党支持率も興味深い結果が出ています。1週間前の朝日新聞、共同通信の調査結果と対比して書きとめておきます(単位は%。見やすいように小数点以下は切り捨てます)。相対的に自民党の支持が低く、立憲民主党、共産党が高くなっています。
朝日新聞 自民30、立民 7、公明3、共産2、維新2 支持政党なし47
共同通信 自民41、立民 8、公明4、共産3、維新4 支持政党なし32
東京新聞 自民24、立民11、公明2、共産7、維新1 支持政党なし46
調査対象は固定電話だけであること、10代~30代が少ないことを考慮に入れる必要はありますが、それでも、質問の順番を変えれば政党支持率も異なってくると、ある程度は言っていいように思います。
なお、東京では都議選が6月25日告示、7月4日投開票の日程で予定されています。もし今、投票するとしたらどの政党の候補者かを尋ねた結果は以下の通りでした(単位%)。やはり立憲民主党と共産党が目立ちます。
都民ファーストの会 9.6
自民党 19.3
公明党 3.4
共産党 12.9
立憲民主党 14.0
東京・生活者ネット 1.6
日本維新の会 3.4
国民民主党 0.5
実際にはどんな結果になるのでしょうか。