10月17日に発売された講談社のマンガ誌「モーニング」に掲載された弘兼憲史氏の「社外取締役 島耕作」に、米軍普天間飛行場の移転を巡り名護市辺野古の新基地建設工事に抗議する人たちについて、日当を受け取っているアルバイトがたくさんいる、との内容が描かれたことは、このブログでも取り上げ、「事実に反しているだけでなく、参加者の主体的な意思で成り立っている抗議行動への侮蔑に当たる」と書きました。
この問題で新たな動きがありました。
モーニング編集部と弘兼氏は連名で11月15日、同誌の公式ページの関連記事を更新し、電子版について作品の一部を描き直した修正版の配信を同日以降、順次開始したこと、今後刊行予定の単行本にも修正版を収録することを明らかにし、「改めて、沖縄の方々をはじめ、当該原稿によりご心痛を与えた皆様にお詫び申し上げます」との謝罪の一文を掲載しました。
沖縄タイムス、琉球新報がそれぞれ報じています。
■沖縄タイムス「漫画・島耕作の『辺野古日当』描写を削除 講談社、電子版を修正し再公開 作者『沖縄におわび』」
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1473260
■琉球新報「漫画・島耕作『辺野古で日当』部分を削除 電子版を修正し配信再開 編集部、作者と連名で『沖縄の方々』へ謝罪」
https://ryukyushimpo.jp/news/national/entry-3656444.html
※「モーニング」誌の公式ページの記事は以下です
https://morning.kodansha.co.jp/news/5670.html
同誌編集部と作者の謝罪は、当初は読者に対してのみ向けられていました。遅ればせながら、「沖縄の方々をはじめ、当該原稿によりご心痛を与えた皆様」への謝罪も加わったこと自体は、誠実な対応でよかったと思います。
さらに進んで、なぜ辺野古への新基地建設に沖縄県が反対しているのか、なぜ現地で抗議活動が続いているのかが、歴史的な経緯を踏まえて、日本本土の側でも広く共有されるようになればいいと思います。無知による過ちは、知る、学ぶことで正すことができます。そのために、日本本土のマスメディアには大きな役割があります。
辺野古への新基地建設を巡っては、反対する人たちを念頭に、堀江貴文氏が「住民の危険よりジュゴン」と発言する内容が含まれたネット番組を、ニューズピックが配信しました。このブログで別の記事にしています。
ニューズピックは沖縄タイムスや琉球新報の取材に対し、「発言内容はあくまで発話者本人の意見で、ニューズピックスの意見を代表するものではない」と回答したとのことで、自らの当事者性を認めないようです。はなはだ疑問です。沖縄の過剰な基地の集中に対する、日本本土の側の無知、無理解の根深さを示しているようにも思います。