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安倍内閣「支持」4割キープ、でも「不支持」は上昇

 4月18日(土)、19日(日)の両日実施された朝日新聞と毎日新聞の世論調査結果が報じられました。安倍晋三内閣の支持率は以下の通りです(かっこ内は前回3月調査からの変動、Pはポイント)。

・朝日新聞 4月18、19日実施
 支持  41%(±0)
 不支持 41%(3P増)
・毎日新聞 4月18、19日実施
 支持  41%(2P減)
 不支持 42%(4P増)
 関心がない 15%(3P減)

 内閣支持率は朝日新聞調査では前回比で横ばい、毎日新聞調査でも2ポイント減と微減です。この1週間前に実施された4件の調査では、6ポイントから2.3ポイント低下していたことと比べると、傾向は異なるようです。

news-worker.hatenablog.com

 直前の16日に、新型コロナウイルスの経済対策として「一律10万円」の支給を安倍首相が表明し、抱き合わせになる形で特措法に基づく緊急事態宣言が全国に拡大されました。「支持」が横ばいの要因を強いて探せば、そのことが好意的に評価されたということでしょうか。ただ「支持」の水準を見ると、計6件の調査結果とも、40%を中心にプラスマイナス2ポイントの中にきれいに収まっています。
 一方で不支持率に目を向けると、18~19日の調査では3~4ポイント増です。「支持」でも「不支持」でもなかった層から「不支持」に転じた層が一定数いて、朝日新聞調査では差し引き3ポイントとなっている、と考えられます。
 毎日新聞の調査は「関心がない」との選択肢を設けているのが特徴です。「支持」が2ポイント減って「不支持」が4ポイント増えていますので差し引き2ポイント。「関心がない」の3ポイント減におおむね見合うと考えれば、やはり「関心がない」層から「不支持」に転じた層が一定程度いると言っていいように思えます。朝日、毎日の2件の調査結果を見て思うのは、支持率に有意の変動は認められないものの、「関心がない」(あるいは「分からない・無回答」)層が減って、その分、不支持層が増えているのが現状ではないか、ということです。


 以前の記事でも紹介しましたが、スマホの普及によって、世論調査による内閣支持率にどこまで意味を求められるか、慎重に見た方がいいと考えています。

news-worker.hatenablog.com

 それでも、不支持率にはそれなりの意味があるように思います。世論調査ではどの調査も内閣を支持するかどうかは、最初の質問です。スマホを介したSNSやニュースアプリでの情報収集が中心で、新聞などの深みのある報道に接していなければ「まあ、いいんじゃないか」と「支持」と答える人は少なくないかもしれません。対して「不支持」と答える人は政治の現状を踏まえたそれなりの理由を持っているのではないでしょうか。一般的に人は他人にポジティブな評価をする時よりも、ネガティブに評価するときの方が慎重になるように思います。以上はあくまでも仮説ですが、民意を読み取るなら今や支持率ではなく、不支持率に着目した方が意味があるのではないかと考えています。

 以下は新型コロナウイルス対策に関しての主な質問と回答状況です。
▼新型コロナウイルス問題への政府(安倍政権)の対応を評価するか
朝日新聞 評価する33% 評価しない53%
毎日新聞 評価する39% 評価しない53%

▼安倍首相は感染拡大防止へ指導力を発揮していると思うか
朝日新聞 発揮している33% 発揮していない57%

▼新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言を4月7日に発令したタイミング
朝日新聞 早すぎた1% 適切だ18% 遅すぎた77%

▼緊急事態宣言の全国拡大について
朝日新聞 評価する 88% 評価しない 9%
毎日新聞 妥当だ  83% 広げすぎだ 5%

▼全住所地への布マスク2枚の配布に対して
朝日新聞 評価する32% 評価しない63%
毎日新聞 評価する26% 評価しない68%

▼「一律10万円」給付の評価
朝日新聞 大いに評価する18% ある程度評価する59% あまり評価しない18% 全く評価しない5%
毎日新聞 妥当だ50% 不十分だ19% 過剰だ9% わからない18%