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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

北角裕樹さんの即時解放求め、新聞労連、メディア総研が声明

 ミャンマー在住の日本人ジャーナリスト・北角裕樹さんが4月18日夜、自宅で治安当局に拘束されました。虚偽の情報を拡散させたとの疑いをかけられ、刑務所に収容されていると報じられています。ミャンマーでは軍事クーデター後、軍当局が抗議行動を激しく弾圧し、市民の殺害が相次いでいます。その実態を伝えるのはジャーナリズムの当然の役割です。軍当局が権力掌握の正当性を主張するなら、ジャーナリストの活動は保護されなければなりません。ジャーナリストを弾圧することは、市民の殺害を続けている軍当局に正統も理もないことを、軍当局自らが認めるに等しいことです。
 北角さんの即時解放を求めて、新聞労連とメディア総合研究所が4月20日、それぞれ声明を公表しましたので紹介します。


 ※新聞労連声明「ジャーナリスト北角裕樹さんの拘束に抗議し、 即時解放と日本政府に救出を強く求める」
 ※メディア総合研究所声明「ミャンマーで拘束されたジャーナリスト北角宏樹さんの即時解放を求める」  

 ◎ジャーナリスト北角裕樹さんの拘束に抗議し、 即時解放と日本政府に救出を強く求める

 軍事クーデターが起きたミャンマーで、同国在住の日本人ジャーナリスト・北角裕樹さんが4月18日夜、自宅で治安当局に拘束され、刑務所に移送される事件が起きました。
 ヤンゴン在住の北角さんは、クーデターに抗議し民主主義を求める市民の活動や、それを弾圧するミャンマー国軍の実態を取材し、S N Sや動画配信を通じて世界に発信してきました。今年2月26日にも抗議デモを取材中に拘束され、解放されています。
 ミャンマー国軍は2月1日のクーデター以降、外国人記者を含むジャーナリストを相次いで拘束。批判的なメディアの免許取り消しや記者の拘束が相次いでいます。ネット遮断など情報通信の妨害も続いています。
 北角さんはこのような弾圧に屈せず、「世界の人にミャンマーで酷いことが起きていることをぜひ知ってほしいという声が非常に強い」「『国際社会に助けてほしい』『軍の残虐行為を平和的なデモだけでは止めることはできないのではないか』『自分たちの力だけではどうにもならないのではないか』と言う気持ちが彼らの中にあって、ぜひ国際社会から圧力をかけてほしいと思っている」と語り、現地での取材や発信を続けてきました。
 これに対し、ミャンマーの軍事政権側は日本大使館に対して「虚偽ニュースを拡散させた疑いで取り調べている」と主張しています。
 市民に寄り添ったジャーナリズム活動が、政府によって違法行為とされて逮捕される事態は、私たち報道機関で働く者に脅威を与え威嚇するものであり、表現・言論の自由への弾圧です。もはや、国際的に保護されるべき報道の自由への蹂躙です。
 ミャンマー治安当局に対して、北角さんやジャーナリストたちの拘束に抗議し、即時解放を求めます。
 また、ミャンマーでは、2007年に日本人ジャーナリストの長井健司さんが軍事政権に対する僧侶や市民の反政府デモを取材中、軍政府から射殺されたとされています。ジャーナリストを狙った同様の悲劇が、二度と繰り返されてはなりません。
 日本政府は「ミャンマー側に対して早期解放を求めている」という姿勢を明らかにし、菅義偉首相も「邦人保護に万全を尽くす」と記者団に語っています。 
 日本政府には北角さんを一刻も早く救出するとともに、軍事政権によるミャンマーの市民に対する弾圧をやめさせるよう、強く働きかけることを求めます。

2021年4月20日
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
中央執行委員長 吉永磨美

 

◎ミャンマーで拘束されたジャーナリスト北角宏樹さんの即時解放を求める

2021年4月20日
メディア総合研究所 所長 砂川 浩慶

クーデターによる軍事政権が支配するミャンマーで4月18日夜、日本人ジャーナリスト北角裕樹さんが身柄を拘束された。ヤンゴン在住の北角さんは、2月1日にミャンマー国軍が政権を掌握した直後から、クーデターに抗議するミャンマー市民の様子などを取材し、世界に向けて発信してきた。今回、国軍は北角さん拘束の理由として虚偽のニュースを拡散した疑いを挙げているというが、北角さんが危険を冒して伝えてきたのはミャンマー市民の真実の声であり、国軍が市民に銃口を向けている弾圧の事実だ。
軍事政権は国内の報道機関を次々と閉鎖に追い込み、インターネットの遮断も繰り返すなど市民の言論・表現活動を厳しく抑え込もうとしている。そうした中で、事実を報じようとするジャーナリストの存在そのものが標的にされている。
 ミャンマーでは2007年、反政府デモを取材中の映像ジャーナリスト長井健司さんが政府軍兵士に射殺され、最期の瞬間まで手にしていたビデオカメラは未だに行方不明のままとなっている。この悲劇を繰り返すようなことは絶対にあってはならない。
 私たちはミャンマー国軍に対し、北角さんを一刻も早く解放することを求めるとともに、日本政府に対しては、邦人保護及び言論・報道の自由の観点から、北角さんの身の安全を守るために可能な限りの努力を尽くすよう強く求める。

以 上