千葉県知事選が2月27日、告示されました。3月16日投開票です。現職の熊谷俊人、共産党推薦の小倉正行の両候補のほか、立花孝志・「NHKから国民を守る党」党首、黒川敦彦「つばさの党」代表が立候補しました。
昨年11月の兵庫県知事選では、立花党首が自らの当選を目指さずに斎藤元彦知事への投票を呼びかけ、斎藤知事のパワハラ問題や、内部告発を行った元県民局長(故人)のプライバシーを巡って、現在では虚偽と判明しているものも含めて、根拠不明の情報をリアルの選挙運動でもSNS上でも拡散しました。このことが、当初劣勢を伝えられた斎藤知事の逆転当選に少なからず影響しました。真偽不明の言説が拡散される状況を新聞やテレビのマスメディアが静観したこともあって、選挙運動のありようとともに、マスメディアの選挙報道が問われています。
そうした中での千葉県知事選であり、またも自らの当選を目指さないと公言してはばからない立花党首が立候補しました。「つばさの党」の黒川代表も、昨年4月の衆院東京15区補選の選挙妨害事件で逮捕され、公職選挙法違反罪で公判中の人物です。どんな選挙戦が展開され、有権者は何を判断材料にして投票先を決めていくのか。新聞をはじめマスメディアにとっては、有権者から信頼されるのかどうか、正念場でもあるはずなのですが、兵庫県知事選後に、各新聞や放送局が選挙報道をどう見直したのか、定かではありません。その点が残念ですし、危うさも感じています。
そんなことを考えながら、千葉県知事選の告示当日の報道を新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)のデジタル版でチェックしてみました。
目を引いたのは東京新聞です。2月27日午前に更新した「4人が届け出」の記事に、以下の「お断り」を付けました。
お断り 千葉県知事選で、東京新聞は、政党助成法の政党要件を満たす政党から推薦・支持を受けている熊谷、小倉両氏を主な候補として扱います。黒川、立花両氏は、政党要件を満たす政党から推薦・支持を受けていないことや、千葉県政と直接関係ない主張を掲げていることなどから判断し、主な候補として扱いません。
政党助成法の政党要件は(1)国会議員が5人以上(2)国会議員が1人以上、かつ前回の衆院選か2回前までの参院選で、比例代表か選挙区合計の得票率が2%以上──のいずれかです。
※「千葉県知事選挙に現職と新人の計4人が届け出 現職の県政運営など争点 3月16日投開票」
2025年2月27日 09:51分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/388419

これまでも、選挙期間中の報道で動向を報じる対象を主要候補に絞ることは、どの新聞も同じでしたが、その候補名と理由を報道の中で明記した例は、少なくともわたしは目にした記憶がありません。
東京新聞の「お断り」は、熊谷、小倉両候補と比較すれば、立花党首、黒川代表の2人の動向を報じる必要性は低い、もっと言えば有権者に知らせる必要はない、と同紙が判断していることを示しています。とはいえ、兵庫県知事選ではマスメディアのファクトチェック報道が必要だったとの指摘があり、千葉県知事選でも展開によってはファクトチェックの形で2人の動向に触れることもあるのではないかと思います。
もう一つ、目に止まったのは産経新聞です。関連記事の数が他紙と比べて多く、それだけ情報量も多いのですが、立花党首の第一声をかなり詳しく報じています。
立花氏は出馬の理由について、斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題を巡り、兵庫維新の会から離党勧告処分を受けた増山誠兵庫県議に「参院選でNHK党から立候補してもらうことだ」と訴えた。
立花氏は演説で、今回の出馬について「当選目的ではない」と言及した。「(公選法には)『選挙には当選目的で立候補しなければならないとは書いていない』」とも強調した。
※「『参院選で増山兵庫県議に立候補してもらうため』N党立花氏、千葉県知事選出馬の理由強調」
2025年2月27日 13:00
https://www.sankei.com/article/20250227-Y7YDH65AEFE63C4YWJ3CHNVHBU/
同じ知事選でも、知事への不信任決議を経た兵庫と、現職の任期満了に伴う千葉とではまったく事情が異なります。千葉でも当選を目指さない立花党首には、千葉県政の課題や政策を訴える気はさらさらないはずです。法で禁止と明記されていなければ何でもありと考えるなら、自らの情報源でもあった兵庫県議を擁護する形を取りながら、またも兵庫県政を巡る真偽不明のあれこれを拡散するつもりなのではないか-。産経の記事からは、そんなことも考えました。一見、不可解な立花代表の動向を読み解く一助になる情報だとも感じますし、ひいては選挙運動のありようを考えることにもつながります。
東京新聞と産経新聞の二つの記事は対照的なようにも感じますが、どちらが正しい、どちらが間違っている、という問題でもないように思います。新聞などマスメディアにまず必要なのは、兵庫県知事選で有権者の疑問に答えうる報道がなかったことを教訓にして、報道の何をどう見直したのか、変えたのかを示すことです。
上記の東京新聞、産経新聞の記事のほか、千葉県知事選の告示について新聞各紙のデジタル版で目にした主な記事の見出しとリンク先を、記録として以下に載せておきます。
【朝日新聞】
▽千葉県知事選が告示、現新4人立候補 現職1期目の県政の評価が焦点
2025年2月27日 22:30
https://digital.asahi.com/articles/AST2W2P8VT2WUDCB00LM.html
【毎日新聞】
▽千葉県知事選告示、4人が届け出 3月16日投開票 物価高など争点
2025年2月27日10:09(最終更新 2月27日10:11)
https://mainichi.jp/articles/20250227/k00/00m/010/037000c
▽現新4氏が立候補 有権者の望む政策は 「生活安定」「防災対策を」 /千葉
地域版2025年2月28日
https://mainichi.jp/articles/20250228/ddl/k12/010/100000c
【読売新聞】
▽千葉県知事選挙が告示、現職・新人の計4人が立候補…投開票は3月16日
2025年2月27日19:07
https://www.yomiuri.co.jp/election/20250227-OYT1T50174/
【日経新聞】※別に会員限定記事
▽千葉県知事選挙、現職と3新人が立候補 3月16日投開票=共同通信
2025年2月27日 10:07 (2月27日17:07更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC271CC0X20C25A2000000/
【産経新聞】
▽千葉県知事選が告示 4人が届け出 現職と3新人 1期4年の県政運営が最大争点
2025年2月27日09:45
https://www.sankei.com/article/20250227-UGBT4RKI5VK4DEPSSRQLND7LWU/
▽「知事との共通項は県民ファースト」 自民県連、熊谷俊人氏との蜜月ぶり演出に腐心
2025年2月27日21:16
https://www.sankei.com/article/20250227-5XV2NY4HLBP6NP4G6WF2TK2CY4/
▽熊谷俊人氏の1期4年の県政運営をどう評価 千葉知事選、4候補で17日間の舌戦突入
2025年2月27日21:18
https://www.sankei.com/article/20250227-NP7HWVM2GFP2BDYGNUZK3NGRSY/