東京発行各紙の2018元日付1面と社説(備忘)

 備忘を兼ねて、今年も東京発行新聞各紙の元日付け朝刊紙面の主な記事と社説の見出しを書きとめておきます。近年は各紙とも1面トップには、1年の内外の課題を見据えた企画記事の初回を据えることが多かったのですが、今年は6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)のうち企画は朝日と日経の2紙で、4紙はストレートニュースでした。うち毎日、読売は北朝鮮関連だったのは今年らしい特徴と言っていいように思います。

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 以下は各紙の1面の主な記事の見出しと論説、社説の見出し、リードです。

 【朝日新聞】
▼1面
・トップ「一瞬のハッピーがあれば、人はまた走れる」=企画「平成都は」第1部 時代の転機 3幸福論
・「仮想通貨長者 把握へ/国税 資産分析 税逃れ防止」
▼社説
「来たるべき民主主義 より長い時間軸の政治を」場当たり的政権運営/シルバー民主主義?/われらの子孫のため  

 現在の安倍政権になって6回目の新年を迎えた。近年まれな長期政権である。
 しかし、与えられた豊富な時間を大切に使い、政策を着実に積み上げてきただろうか。
 正味5年の在任で、例えば、社会保障と税という痛みを伴う難題に正面から取り組んだとはいえまい。持論の憲法改正も、狙いを定める条項が次々変わり、迷走してきた感が深い。
 原因の一つは、国政選挙を実に頻繁に行ったことにある。   

 

【毎日新聞】
▼1面
・トップ「『拉致解決 資金援助が条件』/北朝鮮元高官証言/『調査部門残っている』」/解説「勝手な論理許されぬ」
・「計画公表前 受注リスト/リニア談合 年度内の立件視野」
▼社説
「論始め2018 国民国家の揺らぎ 初めから同質の国はない」機軸をめぐる試行錯誤/民主主義の統合機能を 

 2018年が始まった。
 北朝鮮の核・ミサイル危機は越年し、トランプ米政権の振りかざす大国エゴも収まりそうにない。国家が人間の集合体以上の特別な意思を持って摩擦を生み続けている。
 日本にとって今年は1868年の明治維新から150年にあたる。その歩みにも、日本の国家意思と国際社会との衝突が刻まれている。
 あるべき国家像とは。自らを顧みて問いかけが必要な節目である。
 明治を特徴づけるのは、身分制を廃して国民国家を目指したことだ。ただ、人びとが自動的に「国民」になったわけではない。明治政府は国民の「まとまり」を必要とした。  

 

【読売新聞】
▼1面
・トップ「中露企業 北へ密輸網/タンカー提供 決済仲裁/国連制裁の抜け穴/石油精製品/本紙、契約文書を入手」
・「児童ポルノ7200人購入名簿/検事、警官ら 200人まず摘発」
▼社説
「緊張を安定に導く対北戦略を 眠っているカネは政策で動かせ」戦後最大の「まさか」/「キューバ」を教訓に/中国との信頼醸成図れ/国民負担議論の好機  

 70年余り続く平和と繁栄を、どう守り抜くのか。周到な戦略と、それを的確に実行する覚悟と行動力が求められる年となろう。
 北朝鮮による緊張が高まっている。広島型原爆の10倍を超える威力の核実験を行い、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。核の小型化と弾頭の大気圏再突入の技術があれば、米本土への核攻撃能力を手にすることになる。
 冷戦後、圧倒的な軍事力を持つ米国は、ロシアや中国との「核の均衡」を維持しつつ、世界の安全保障を主導してきた。米国を敵視する北朝鮮は、自国の独裁体制維持を目的に、安定した国際秩序を崩そうとしている。  

 

【日経新聞】
▼1面
・トップ「溶けゆく境界 もう戻れない/デジタルの翼、個を放つ」=企画「パンゲアの扉 つながる世界」1
・「銀行間振込 夜も休日も/全銀協、10月から即時決済」
・「電子攻撃機の導入検討/政府 電磁波で通信網無力化」
▼社説
「順風の年こそ難題を片付けよう」財政・社会保障の姿を/雇用改革も待ったなし 

 新年を迎え、目標に向けて決意を新たにした方も多いだろう。2018年をどんな年にしたら良いのか。政府と企業の課題を考えてみよう。
 「世界経済は2010年以来なかったような、予想を大きく上回る拡大を続けている」。米ゴールドマン・サックスは18年の世界経済の実質成長率が17年の3.7%から4.0%に高まるとみている。地政学リスクなどあるが、久しぶりの順風である。 

 

【産経新聞】
▼1面
・トップ「中国、2030年までに空母4隻/原子力検討、アジア軍事バランス変化/米と覇権争い 主戦場は南シナ海」
・「自衛隊で『わが国存立』/改憲、自民が複数条文案」
▼論説
・1面「年のはじめに 繁栄守る道を自ら進もう」石井聡論説委員長 

 異例の新年である。「戦後最大の危機」を抱えたまま、幸運にもこの日を無事に迎えることができた。
 朝鮮半島をめぐる緊張がさらに高まる場面も訪れるだろう。平和への願いは尊い。だが、祈りだけで国や国民を守るのは難しい。正月とはいえ、そうした状況に日本が置かれていることを忘れてはなるまい。
 極東に浮かぶ島国が世界の荒波にこぎ出した明治維新から、150年という大きな節目に当たる。
 当時の列強の組み合わせとは異なるものの、日本を押さえ込み、攻め入ろうとする国が出現している。
 世界経済に目を向けると、座標軸はめまぐるしく変化している。少子高齢化を切り抜けるため、有効な手立てが見つかったわけでもない。
 難局を乗り越えて生存していくには、国も個人も自ら針路を決めなければならない。その選択をためらっている暇はあまりない。 

 

【東京新聞】
▼1面
・トップ「福島除染『手抜き』/汚染土詰めた二重袋 内袋を閉めず/1000袋発見 不正横行か/雨水入り、漏れる恐れ」
・「改憲 今年中の発議目指す/2019年春までの国民投票想定/自民方針」
▼社説
「年のはじめに考える 明治150年と民主主義」明治憲法つくった伊藤/民衆の側から見る歴史/広場の声とずれる政治 

 明治百五十年といいます。明治維新はさまざまなものをもたらしましたが、その最大のものの一つは民主主義ではなかったか。振り返ってみましょう。

 日本の民主主義のはじまりというと、思い出す一文があります。小説・評論家で欧州暮らしの長かった堀田善衛氏の「広場と明治憲法」と題した随想です(ちくま文庫「日々の過ぎ方」所収)。 

  

 紙面づくりで目を引いたのは産経新聞です。
 2面と3面には見開きで朝鮮半島有事のシミュレーションを掲載。「米の北攻撃 3月18日以降」「予備役招集 開戦シグナル」の見出しはインパクトがあります。
 7面では「BPO 中立性に疑義」「委員リベラル寄り『国民不在』」の見出しで、放送倫理・番組向上機構(BPO)を真っ向から批判。まずやり玉に挙げたのは、沖縄の米軍基地反対運動を批判した東京MXテレビの番組「ニュース女子」について「重大な放送倫理違反があった」とした意見書。「一部の政治活動に“お墨付き”を与える存在」との評論家潮匡人氏のコメントを紹介し、意見書についての民放労連の委員長談話も「反対運動批判を封じにかかった」と批判的に評しています。
 8面と9面は「新春2018年 首相と語る」。安倍晋三首相と女性4人の座談会です。4人はジャーナリスト櫻井よしこ、気象予報士・女優の半井小絵、「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員長の肩書を持つ「沖縄・政治活動家」の我那覇真子の各氏と田北真樹子記者。女性4人は田北記者も含めていずれも着物姿、安倍晋三首相はスーツ。場所は首相公邸。見出しを拾うと「日本の立ち位置は強力」「タブーに挑み 国民守る」「自衛隊論争に終止符を」「拉致被害者 帰国見たい」「安保環境 非常に厳しい」「印象操作の沖縄地元紙」「安保法 対北で不可欠」となっています。
 13面の国際特集は「粛清・洗脳…2018年正恩政権の行方」で、「Q 反乱の可能性は/エリート層使い統制」「Q 経済制裁 影響は/穀倉地帯で餓死恐れ」「Q 地方住民 生活は/楽しみは韓流ドラマ」の記事3本と図解で構成。北朝鮮社会の実情に詳しいアジアプレスの石丸次郎氏の話を紹介するなど、深い内容も盛り込まれています。
 1面トップの中国の軍拡記事も含めて、全体として中国、北朝鮮が安全保障上の脅威であることをリポートしつつ、それに対応しようとする安倍晋三政権の政策を評価するトーンが貫かれていると感じました。