「今も憲法番外地」(沖縄タイムス)「振興の根本的転換を」(琉球新報)~日本復帰46年、沖縄2紙の社説

 5月15日は、1972年に沖縄が日本に復帰して46年でした。沖縄タイムス、琉球新報の地元紙2紙は、ともに関連の社説を掲載。沖縄タイムスは1日前の14日付にも載せています。両紙の社説が共通して指摘しているのは、事実上、地方自治がないことと、過剰な基地集中とが表裏一体になっている沖縄の実状です。その中で沖縄タイムスは、北朝鮮情勢が劇的に動き始めているとして「日本政府は東アジア情勢を俯瞰する大局観をもって、辺野古新基地建設をいったん止め、海兵隊や不平等な日米地位協定の在り方を問い返す機会にすべきである」と主張しています。
 備忘を兼ねて、それぞれの社説の一部を引用して、書きとめておきます。

【沖縄タイムス】
▼5月14日付「[復帰46年 自治]沖縄は今も憲法番外地」
 http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/251151

 沖縄の住民は、サンフランシスコ講和条約の締結の際、国会において、主権者としてその是非を意思表示することができなかった。
 政策決定によって最も影響を受けるにもかかわらず、住民に判断の機会が与えられることはなく、一方的に押しつけられたのである。
 復帰の際、未契約米軍用地を強制使用するために制定された公用地暫定使用法もそうだ。同法は沖縄だけに適用された法律で、本来、憲法に基づいて県民投票を実施すべきであったが、住民の要求は無視された。
 政治学者で西銘県政の副知事をつとめた比嘉幹郎さんは、復帰前年の71年に沖縄自治州構想を発表した。
 「復帰により沖縄の自治は縮小する」との懸念から、比嘉さんはこう指摘している。
 「沖縄の自治は住民の闘争によって獲得したものであり、沖縄に特別自治体を置くことは『日本変革』の突破口になるものと確信している」
 比嘉さんの自治論は、今も古びていない。
 名護市辺野古の新基地建設を進める政府は、建設反対の翁長雄志知事や稲嶺進前名護市長に対し、徹底した「ムチの政策」を続け、地域を分断し、沖縄の自治をずたずたにしてきた。軍事上の要請で自治は形骸化し、沖縄はさながら「政府直轄領」のような様相を強めている。
 「現実だから仕方がない」とあきらめてはならない。現実を突き破る自治構想と実践が求められている。

 ▼5月15日付「[復帰46年 基地]『沖縄集中』もはや限界」
 http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/251979 

 復帰後生まれの人口が過半数を占め、米軍基地の形成過程を知らない人が多くなった。沖縄に基地が集中するようになったのはなぜなのか。
 米軍普天間飛行場のように、沖縄戦で住民らが収容所に入れられている間に米軍が土地を接収し基地を建設したり、本土から米軍が移転してきたりしたケースがある。共通しているのは日本政府が基地建設や米軍移転を積極的に容認していることだ。
 在沖米軍の主力で、兵力の6割、面積の7割を占める海兵隊はもともと沖縄に存在していたわけではない。
 1950年代に反基地感情が高まった岐阜や山梨・静岡から米軍統治下の沖縄に移転してきたのが実態だ。
 (中略)
 辺野古新基地ができてしまえば、半永久的に残る。普天間にはない強襲揚陸艦が接岸できる岸壁や弾薬搭載エリアが計画され、負担軽減とは逆行する。米軍の排他的管理権によって国内法が及ばない基地ができるのである。
 基地が集中する沖縄で、生物多様性豊かな宝の海を埋め立て、基地を建設するのは明らかな禁じ手だ。
 北朝鮮情勢が劇的に動き始めている。日本政府は東アジア情勢を俯瞰する大局観をもって、辺野古新基地建設をいったん止め、海兵隊や不平等な日米地位協定の在り方を問い返す機会にすべきである。 

【琉球新報】
▼5月15日付「日本復帰46年 沖縄振興の根本的転換を」
 https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-718771.html 

 1972年の5月15日、沖縄は日本に復帰した。その前年の71年11月、沖縄国会と言われた第67臨時国会に、琉球政府の屋良朝苗行政主席は復帰措置に関する建議書を提出した。建議書は「はじめに」の項で「基地のない平和の島としての復帰」を望んだ。
 復帰後も改善されない最も大きな障害は米軍基地の存在だ。在日米軍専用施設の集中度は復帰時の約75%から約70%に減るにとどまり、整理縮小は進んでいない。2016年の米軍属女性暴行殺人事件、米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの名護市安部墜落、17年の普天間第二小学校への米軍ヘリ窓落下事故など事件事故が頻発し、県民の命が脅かされている。
  しかし基地の負担を軽減するどころか、安倍政権は普天間飛行場の名護市辺野古への新基地建設を強行している。沖縄県知事が明確に反対し、新基地建設の賛否が争点となった全県選挙ではほぼ反対の候補者が当選した。建議書が掲げた「地方自治の確立」は、新基地建設を強行する政府によって妨げられている。
  建議書は「県民本位の経済開発」も掲げた。本土に比べて大きく立ち遅れた沖縄の振興策として、約10兆円の「振興開発費」が投下された。確かに道路や港湾などインフラは大きく進んだ。
 しかし県民所得は全国平均の約7割、失業率は全国ワーストといった貧しさの部分は解消していない。
 (中略)
 建議書が挙げた新生沖縄像は、国家に押し付けられるのではなく、自らの未来を自らが決めるという姿だ。苛烈な沖縄戦と米国統治による圧政を経験した呻吟の中から生み出された県民全体の願いと言えよう。自立と自律。これを実現することこそ、次世代に対する私たち世代の責任だ。