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組織ジャーナリズムに身を置き40年余

「市民の良識、未来を左右」科学史家 村上陽一郎さん(日経新聞)~緊急事態宣言下 在京紙報道の記録2:4月11~14日付

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための緊急事態宣言は1週間が過ぎ、4月14日で8日目になりました。以前の投稿に続いて、4月11日~14日の東京発行新聞各紙の1面の記録です。
 この間の記事で印象に残るものの一つは、日経新聞が朝刊1面で連載しているインタビュー企画「コロナと世界」の11日付「『市民の良識、未来を左右』科学史家 村上陽一郎氏」です。村上さんの著書「ペスト大流行」(岩波新書)は1983年刊行ながら、今またよく読まれているようです。
 記事の中で村上さんは、感染拡大防止のためには、中国のような強権的な政権や独裁政治の方が果断な措置を取りやすいのは確かだとし「危機を前にして人権を尊重する社会は脆弱ともいえるが、国家主義や全体主義の台頭は許してはいけない」と説きます。そして「一部の権威ある人々がすべてを決定した時代と異なり、今は社会にとって何が合理的なのかを最終的に判断するのは市民だ。個人の良識や常識、健全な思考に私たちの未来はかかっていると再認識すべきだ」と指摘しています。「ネット上には真偽の不確かな情報があふれており専門家と人々をつなぐ科学ジャーナリズムや科学コミュニケーターの役割がより重要になる」とも。重要なのは、危機に際して社会に正確な情報が提供されること、その上で市民が自分で考えることを放棄しないこと、公権力と為政者に異議を申し立てる権利が担保されることだと、受け止めました。
 歴史の教訓を今、社会で共有し生かすためには、歴史家の社会的発言が有用であり、不可欠だと感じます。

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  以下は、11~14日の東京発行新聞各紙の1面トップ記事と準トップ記事の見出しの記録です。

【4月14日(火)付】=緊急事態宣言8日目
▼朝刊
朝日新聞
「ソフトバンクG 1.3兆円赤字/コロナ影響 投資先の価値 半減」
「米国第一 感染拡大防げず/中国敵視 保健分野は冷遇」コロナ危機と世界 リーダーの不在(上)
毎日新聞
「中野の病院92人確認/全国各地 院内感染疑い」
「ソフトバンク7500億円赤字/3月期予想 ファンド損失計上」
読売新聞
「全7都府県が休業要請/緊急事態宣言1週間」
「ソフトバンクG7500億円赤字/3月期見通し 投資先株価 急落」
日経新聞
「『3カ月で事業不安』3割強/『緊急事態』の長期化警戒」
「コロナと世界『争いの時代 協調こそ解』生物地理学者 ジャレド・ダイアモンド氏」
産経新聞
「終電繰り上げ検討/政府 首都圏対象 来週めど」
「出勤7割減『これ以上は…』/要請後初の平日 一定成果も中小には死活問題」
東京新聞
「PCR検査限界/電話相談 倍以上に・指定外来 空きなく」※都内感染最多の世田谷区
「給付金 共働きに不公平/世帯主で判断 実情合わず」

▼夕刊
朝日新聞
「避けたいコロナ離婚/『在宅勤務で口げんかばかり』『外出せず話題ない。苦痛』」
「熊本地震4年 再建半ば/県庁で追悼式」
毎日新聞
「ウェブ会議 変革の芽/コロナで機材売り切れ続出」
(ニュース・フラッシュ「コロナ致死性、新型インフルの10倍」など5本)
読売新聞
「3府県 休業要請初日/千葉など 飲食店 対応割れる」
「年金法案 審議入り/パート適用拡大が柱」
日経新聞
「外国人入国 9割超減/3月 規制で中韓落ち込み」
「回復後 免疫つくか不明/WHO、再陽性相次ぎ見解」
東京新聞
「休館図書館の試み/休校学生に無料で宅配 職員が自宅に資料届け」
「30万円給付、対象拡大検討/政府 世帯主以外の減収対応」

【4月13日(月)付】=緊急事態宣言7日目
▼朝刊
(新聞休刊日のため発行なし)

▼夕刊
朝日新聞
「なじみの店救う ネットで支援金/外出自粛で客激減 お礼にカニ飯・食事券」
(NEWSダイジェスト「コロナ国内感染7千人超える」など3本)
毎日新聞
「手話通訳 表情も情報/マスクなし 気遣う声相次ぐ」
「医療現場に『遠隔サービス』を/9県12市区で導入 東京も前向き検討」
読売新聞
「原油970万バレル減産合意/世界生産の1割 OPEC・露など」
「封鎖解除『終息見えてきた』/奔走した市民ボランティア」コロナ最前線@武漢
日経新聞
「『出勤7割減』企業が知恵/デサント 原則在宅 出社は申請 三菱マテ 本社閉め小規模拠点」
「日量970万バレル減産 最終合意/OPECプラス 世界供給の1割」
東京新聞
「都内2000人超 7日で倍増/中野の病院87人感染」
「原油 世界生産1割減/米・ロ・サウジ合意」

【4月12日(日)付】=緊急事態宣言6日目
▼朝刊
朝日新聞
「『出勤者7割減』要請へ/首相 7都府県の全企業に」
「CIAに中国スパイ 十数人が命落とした」争覇 米中情報戦
毎日新聞
「繁華街利用 全国で自粛/接客伴う飲食店 政府要請」
「台風半年 仮住まい1万人/19号 関連死7万人」
読売新聞
「首相『出勤7割削減』要請/7都府県 全事業者に」
「都内感染新たに197人/4日連続最多」
日経新聞
「大企業にも資金難懸念/3割減収、半年で4社に1社枯渇」
「コロナと世界『市場機能維持、新次元で』前日銀総裁 白川方明氏」
産経新聞
「米艦、中国側を航行/台湾海峡 中間線、異例の牽制」
「世界の死者 10万人超/新型コロナ パンデミック表明1カ月」
東京新聞
「首相『出勤者7割減を』/接客店利用自粛は全国に」
「都内幹線 最多197人」

【4月11日(土)付】=緊急事態宣言5日目
▼朝刊
朝日新聞
「都、きょうから休業要請/図書館・体育館・パチンコ・バー・カラオケ」
「30万円給付 基準統一/コロナ対応 国、批判受け見直し」
毎日新聞
「都、休業協力最大100万円/対象業種 国と同意」
「東京189人増 3日連続最多/感染者 全国計6000人超」
読売新聞
「都、幅広く休業要請/新型コロナ 協力店に50万円」
「30万円支給 基準一律/単身『月収10万円以下』」
日経新聞
「人工呼吸器 参入に壁/日本、緊急事態でも規制変更なし」
「コロナと世界『市民の良識、未来を左右』科学史家 村上陽一郎氏」
産経新聞
「都 6業種に休業要請/居酒屋20時まで パチンコは『NO』」
「都内189人 3日連続最多/新型コロナ 国内感染6000人超す」
東京新聞
「都、6分野へ休業要請/中小協力店 最大100万円支給」
「大林宣彦監督死去/82歳『時をかける少女』」

▼夕刊
朝日新聞
「映像の魔術師 時をかけた/戦争の原体験『映画は未来を平和にできる』」※大林監督死去
「全国で自粛要請へ/接客伴う飲食店利用」
毎日新聞
「遠隔でも 児童に笑顔を」読むPHOTO写真 ※学童保育
「大林宣彦さん死去/『転校生』『時をかける少女』」
読売新聞
「作業除外でも…困惑/理髪店 客の来店分散」
「世界死者10万人突破/8日間で倍増 感染170万人に迫る」
日経新聞
「自粛でも…『行きつけ』応援/アプリで飲食店に先払い テークアウトで積極利用」
「濃厚接触 スマホで通知/アップル・グーグル開発へ」
東京新聞
「感染抑制 厳戒の週末/東京・神奈川 休業要請始まる」
「世界死者10万人超す/奥州7割 米は1日で2000人増」