菅批判票の明確な受け皿になった新人が圧勝~示唆に富む横浜市長選の結果

 8月22日投開票の横浜市長選で、菅義偉首相が全面的に支援していた小此木八郎候補が、立憲民主党推薦の新人、山中竹春候補に大差で敗れました。横浜市議から衆院議員へと進んだ菅氏にとって、地元の市長選での大敗は、党総裁選や衆院解散・総選挙への対応に大きく影響し、政局が一気に流動化するとの指摘が報じられています。
 東京発行の新聞各紙も23日付朝刊で選挙結果を大きく扱いました。朝日、毎日、読売、東京の4紙が1面トップ、日経、産経も1面でした。各紙とも総合面や社会面にも関連記事を載せています。この選挙結果の大きな要因として、各紙ともおおむね共通して指摘しているのは、菅政権の新型コロナウイルス対策への有権者の不信、不満です。
 当初は横浜市へのカジノ誘致の是非が最大争点とされていました。しかしコロナ感染が爆発的な増加を見せるのと同時に、選挙の焦点もコロナ対策へと転じたようです。新聞各紙の出口調査によると、小此木候補は自民党支持層をまとめきれず、また無党派層も4割が山中候補に流れたとのことです。
 菅内閣の支持率は五輪を経ても続落傾向が続いています。衆院選を控えて、このままでは自民党は持たないでしょう。
 横浜市長選でもう一つ、見逃せない要因は山中候補の支援体制です。共産党、社民党に加えて、前回は現職支持だった連合神奈川も今回は山中候補を支援したと報じられています。現職のほか知名度を持つ知事職経験者2人も含め、立候補者は計8人に上る乱戦もようだったのですが、政治経験ゼロの無名の新人である山中氏が圧勝した最大の要因は、こうした共闘態勢によって菅政権批判票の明確な受け皿になり得たことだろうと思います。投票率が前回から11ポイント余も上がった(49.05%)こととも、相乗効果があったのではないかと感じます。
 秋には必ず実施される衆院選で、野党がどのような共闘態勢を組めるのか、あるいは組まないのかが焦点です。特に連合が、労働組合として何を重んじて最終的にどのような判断を示すのか、注目しています。

 23日には、テレビ朝日系列のANNが21~22日に実施した世論調査の結果も報じられました。菅内閣の支持率は前回調査から3.8ポイント下がって25.8%。内閣発足以来の最低を更新している点は、先行各社の調査と同じ傾向です。
 気になるのは東京五輪の評価です。「あなたは、この時期にオリンピックを開催して、良かったと思いますか、良くなかったと思いますか?」との問いに対して、「良かった」38%、「良くなかった」44%でした。
 五輪最終盤の時期、および閉会から1週間のタイミングで実施された先行調査では、五輪を開催してよかったかどうかの問いには、肯定的な回答が64~54%に上っていました。閉会から2週間がたって、「よかった」との気持ちが冷めたのでしょうか。ANNの調査では質問に「この時期に」が入っています。他の調査にはありません。ANN調査では、コロナの爆発的な感染拡大や酷暑を思い浮かべた人が少なくなかった可能性があるように思います。
https://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/202108/

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 以下に、23日付の東京発行各紙の横浜市長選関連の主な記事の見出しを書きとめておきます。
▼朝日新聞
・1面トップ「横浜市長に野党系・山中氏/IR誘致反対 首相支援候補破る」「解散戦略 影響も」
・社会面トップ「コロナ対応 不満あらわ/横浜市長に山中氏 専門家 受け皿に/IR誘致 中止へ」「介入し敗北『菅離れ』必至」「無党派層39% 山中氏へ 出口調査へ」
▼毎日新聞
・1面トップ「横浜市長選 野党系勝利/首相地元 小此木氏破る/コロナ専門家 山中氏当選」/解説「衆院選前に菅氏痛恨」
・2面:焦点「首相の不人気 鮮明/盟友肩入れ 大打撃」「無党派層4割、山中氏へ」
・社会面「コロナ対策 訴え奏功/横浜市長に山中氏 市民の不満追い風」
▼読売新聞
・1面トップ「横浜市長選 与党惨敗/野党系・山中氏当選 菅政権に打撃/政府コロナ対策に不満」「首相10月前半解散を模索/総裁選後、求心力回復狙う」
・2面「コロナ禍 崩れた戦略」/「IR誘致 事実上頓挫」「感染拡大 政府に不信感 出口調査」
・3面:スキャナー「首相『選挙の顔』窮地/『全力応援』地元で敗北」「総裁選『岸田氏出馬』が焦点」
・4面(政治・経済)「野党『コロナ批判』奏功/共闘『共産隠し』不満も」
・社会面「小此木陣営 恨み節/地元議員『内閣不支持が敗因』」「小此木さん 政界引退言及」
▼日経新聞
・1面準トップ「総裁選、来月実施強まる/首相、早期解散難しく」/「世コアはm市長 野党系・山中氏/首相支援の小此木氏敗北」
・3面「首相地元で敗北 打撃/総裁選先行、活路探る」/「小此木氏、自民層4割/分裂で林氏に2割流れる」
・社会面「首都圏IR、白紙に/他自治体に影響も/『誘致しない宣言、早期に』」
▼産経新聞
・1面準トップ「横浜市長選 自民系敗北/野党系 山中氏が初当選/IR撤回宣言へ」
・3面「お膝元で敗北 菅政権打撃/衆院選へ首相交代論加速も」「野党、共闘に向け実績」/「IR反対『選挙熱冷めた』/自民市連 推進・林氏らに票流れる」
▼東京新聞
・1面トップ「横浜市長に野党系・山中氏/首相支援の小此木氏破る/コロナ拡大 政権へ批判票」「続く敗北 首相の求心力低下必至」
・2面:解説「『真のIR反対』浸透」/「小此木氏は自民層の4割止まり/分裂で2割は林氏に 出口調査」
・第2社会面「『市民一人一人と向き合う』/当選の山中さん決意」「今後の選挙『立候補しない』/落選の小此木さん」