東京五輪 直前2カ月間の社説、論説の記録② 6月23日付~7月22日付 ※随時更新

 東京五輪開幕2カ月前の2021年5月23日以降、新聞各紙が掲載した東京五輪関連の社説、論説の記録です。記事量が増えてきたので、6月23日付から別記事にしました。5月23日付から6月22日付までは以下の記事にまとめています。

news-worker.hatenablog.com

 原則として、各紙のネット上のサイトで読めるものです。随時、更新します。

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【7月22日付】
▼毎日新聞「かすんだ『復興五輪』 被災地の思いを忘れずに」
 https://mainichi.jp/articles/20210722/ddm/005/070/100000c

 当初、五輪を招致する大義名分は明確でなかった。「復興」は2011年の震災後、日本を世界にアピールする手段として前面に打ち出された。政治利用された側面は否めない。
 開催都市を決める13年の国際オリンピック委員会(IOC)総会で、当時の安倍晋三首相は福島第1原発事故後の状況を「アンダーコントロール(制御下)」と演説し、安全性を強調した。だが、現実と異なる説明が批判を浴びた。
 五輪がむしろ、復興の足かせとなった面もある。建設業者が五輪に向けた工事を優先したため、人手不足や建築資材の高騰を招いたからだ。

▼東奥日報「開催の意義を問い直そう/かすむ復興五輪」
 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/600797

 「復興五輪」の目的は、大震災当時の各国の支援に感謝の気持ちを込めて、壊滅的な被害をここまで克服した力を訴え、同時に原発事故の過酷さを伝えていくことではないか。3.11を語り継ぐ営みは、開催国の大切な役割でもある。
 被災地でのプレーボールやキックオフの意味をかみしめ、「復興」というひとくくりの言葉で片付けられない、光と影、明と暗を見つめ直すきっかけとしたい。単なる競技を実施するだけで終わらせては、五輪招致の名目に被災地を利用した、とのそしりは免れないだろう。

▼福島民友新聞「東京五輪・復興の理念/感謝と『今』世界に伝えよう」
 https://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20210722-639350.php

 地震と津波、原子力災害で甚大な被害を受けた本県は、10年間で農林水産業の再生、ロボットなどの新たな産業の創出など、着実に復興を前に進めてきた。除染などにより避難指示が解除された区域は徐々に増えた。しかし、多くの県民がいまだ県内外で避難生活を送る。原発事故の廃炉作業はこれから数十年間にわたる。
 海外には、10年前の水素爆発の映像が脳裏に刻まれたままの人も少なくないだろう。世界中の人に感謝の気持ちを表し、本県の歩みや現状を正確に伝えることが、今大会の大きな目的の一つだ。政府や組織委員会、県などは、大会理念を踏まえ、世界中に本県の姿を発信してもらいたい。

▼山陰中央新報「かすむ復興五輪 『影』も見つめ直したい」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/66579

▼宮崎日日新聞「小山田氏辞任◆組織委の鈍い人権感覚露呈◆」
 https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_54998.html

▼南日本新聞「[東京五輪開幕] 記憶に残る安心安全を」/大義はどこにある/テレビ通し声援を
 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=140687

 中止を求める国民の声が消えない中、政府や組織委員会などは開催に踏み切った。組織委は、入国した選手らの行動範囲を選手村や会場に限定する「バブル方式」を中心に感染を防ぐ方針だ。だが、選手らの感染も増えており、無事に競技が実施できるか不安が募る。
 感染拡大を起こさず「安心安全な大会」として世界の人々の記憶に残せるか。政府や組織委の実効性のある対応が問われている。

【7月21日付】
▼朝日新聞「小山田氏辞任 五輪理念ますます遠く」
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14982607.html

 事態を統御できず、説明責任を果たさない組織委のもと、きょうから一部の競技が始まる。
 混迷と不信と不安と。まさかこんな悲惨な状況で迎えるとは予想もしなかった「平和の祭典」の幕開けである。

▼毎日新聞「五輪楽曲担当者が辞任 組織委の人権意識を疑う」
 https://mainichi.jp/articles/20210721/ddm/005/070/137000c

 コロナ下の五輪開催を疑問視する意見は根強い。組織委が、人権への配慮を欠く体質を根本的に改めなければ、五輪と国民の距離は広がるばかりだ。

▼読売新聞「五輪外交 ともに困難を乗り越えたい」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210720-OYT1T50242/

 韓国の文在寅大統領は、土壇場になって来日見送りを決めた。日韓関係改善に向けた対話の機会が失われたのは残念である。
 韓国政府は、首脳会談で成果が見込めないためだと説明している。だが、関係改善には「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」や元慰安婦をめぐる問題で、韓国側が解決策を示すことが先決だ。
 韓国側は、選手村の食事について、福島県産品を食べないよう指導したという。選手村居住棟のベランダには一時、反日的ともとれる内容の横断幕が掲げられた。
 日韓関係を悪化させかねない行動だ。政治的な主張を五輪に持ち込まないよう配慮を求めたい。

▼日経新聞「五輪の辞任劇が問う人権感覚」

▼北海道新聞「五輪作曲者辞任 組織委の人権感覚疑う」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/569413?rct=c_editorial

 コロナ禍の東京五輪は、多くの国民が疑問を抱いたまま、開幕を迎えようとしている。
 小山田氏の辞任は混迷をさらに深める形となった。

▼河北新報「被災地で五輪競技開始/『復興』の理念 諦めず発信を」
 https://kahoku.news/articles/20210721khn000005.html

 復興を伝える機会は極めて限られることになった。それでも、諦めずに、発信に力を尽くすべきだろう。
 例えば、組織委などが各国の報道陣が集まる東京のメインプレスセンターに設置した「東京2020復興ブース」はその一つ。震災直後の状況などの画像をスライドショーで紹介する。被災地とつないだオンラインのプレスブリーフィングもあった。
 ブースの開設に際して、組織委の橋本聖子会長は「大会は震災からの復興が源流。復興しつつある姿を、支援への感謝とともに発信していく」とコメントした。
 これ以外にも、無観客でも復興を発信できる方法はまだあるはずだ。政府や組織委の取り組みはもちろん、被災地からもアイデアを積極的に出して、組織委に働き掛けていくことも必要だろう。

▼秋田魁新報「選手村で陽性者 五輪発の感染拡大防げ」
 https://www.sakigake.jp/news/article/20210721AK0026/

 羽田空港の水際対策などを先月末に視察した菅義偉首相は、選手らの入国本格化に備え「さらに徹底して対策を行うよう指示した」と述べていた。事前合宿の来日者を除く大会関連の1日以降の陽性者数は、20日夕現在で計67人。菅首相の言葉とは裏腹の結果ではないか。
 水際対策はもはや万全からは程遠い。選手村でクラスター(感染者集団)が生じたり、選手村から外に感染が広がったりする懸念も払拭(ふっしょく)できない。

▼山形新聞「いじめ巡り小山田氏辞任 組織委の責任は重大だ」
 https://www.yamagata-np.jp/shasetsu/?par1=20210721.inc

 より重大な問題はそうした事実が明るみに出た後も小山田氏を擁護し、続投させようとした大会組織委員会の人権感覚と判断力の欠如だろう。これを個人の問題として終わらせてはならない。

▼福島民報「【東京五輪 福島市で開始】まずは競技の成功を」
 https://www.minpo.jp/news/moredetail/2021072188624

 大会に向け、県内の九市町村が「ホストタウン」、十一市町村が「復興『ありがとう』ホストタウン」に認証され、それぞれ相手国との交流に知恵を絞ってきた。多くの市町村が事前合宿や交流事業の中止を余儀なくされたが、相手国との間に新たなつながりや絆が生まれるなど、これまでの取り組みは決して無駄ではない。アフターコロナを見据え、国際交流や復興の発信を諦めないでほしい。

▼新潟日報「小山田氏辞任 五輪理念に背く言動また」
 https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20210721629706.html

 一連の問題で浮かび上がるのは危機管理の甘さだろう。感染禍の五輪という異例の大会では通常にも増して緊張感が求められる。組織委は猛省し、十分な備えを講じなければならない。

▼中日新聞・東京新聞「開会直前の五輪 迷走生んだ無責任体質」
 https://www.chunichi.co.jp/article/294849?rct=editorial

 組織委は小山田氏が自ら辞任することで幕引きを図ったが、解任に値する事案だ。対応の遅れは、ただでさえ開催への反対論が強い東京五輪・パラリンピックの正当性を一層傷つけたことになる。武藤、丸川両氏を含む責任者の進退が問われて当然だ。
 五輪・パラリンピックの開催に当たっては、参加選手やボランティアを含めた関係者が奮闘している。こうした努力は見守りたい。
 その一方、選手たちに最高の活躍の場を用意するはずの組織委などの運営者側が迷走を続けては、不安が募るばかりである。
 今大会を、統治能力に疑問符がつく組織委や、適切に対応しているとは言い難い五輪担当相に任せ続けていいのだろうか。

▼京都新聞「小山田氏の辞任 人権意識が欠けている」
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/602772

 政府は、東京五輪・パラリンピックに向けて、駅などの拠点を中心にしたバリアフリー化や、飲食店や職場などを原則禁煙とする法改正を進めてきた。
 そうした環境整備の一方で、今回の問題は五輪が目指す多様性や共生社会の理念の浸透に、課題があることを浮き彫りにした。
 差別や偏見を乗り越える使命を担っていることを、大会関係者は改めて肝に銘じてほしい。

▼中国新聞「開会式の作曲担当辞任 五輪理念、なぜ分からぬ」
 https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=774995&comment_sub_id=0&category_id=142

 主役のアスリートのあずかり知らぬところで、東京五輪のイメージはおとしめられている。選手が気の毒でならない。
 小山田氏の音楽は使わず、パラリンピックの担当も外すという。当然だ。とはいえ2日後に迫る開会式。新たな楽曲づくりや演出の変更などを間に合わせるのは大変だろう。
 スタッフやボランティアの多くは、開会式や大会をよりよくしようと努力している。肝心の組織委はどうか。五輪の精神を理解できているとは思えない。今の組織委で五輪を開催できるかどうか、甚だ疑問だ。

▼山陰中央新報「小山田氏辞任 個人の問題で終わるな」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/65981

▼宮崎日日新聞「コロナ拡大と五輪◆国民の安全守る使命果たせ◆」
 https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_54969.html

 菅首相が優先しなくてはならないのは、五輪を予定通り終わらせることではない。国民の命を守るためコロナ感染を一日も早く収束に向かわせることだ。憲法に基づく野党の臨時国会召集要求に応え、コロナ対策を充実させる論議にも臨むべきだ。

▼佐賀新聞「小山田氏辞任 個人の問題で終わらせるな」※共同通信
 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/710076

 一連の不祥事で浮かび上がるのは、この国で重要な意思決定に関わる集団に共通する共感力のなさだ。差別でも盗用でも、自分や家族が被害に遭ったらどんな気持ちになるのか。そんな想像力を持たない人々が、仲間内で仕事を回し合い、異論を封じ込めようとする。
 スポーツや教育、社会活動を通じて、他者への共感をどうやって培うか。ずっと前から向き合うべきだった課題に、今度こそ目を向けたい。

▼南日本新聞「[小山田氏辞任] 五輪組織委また後手に」
 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=140619

 大会が掲げる「多様性と調和」に背く問題が続いているのは情けない。組織委はこうした五輪の原点を改めて自覚しなければならない。

▼沖縄タイムス「[小山田氏辞任]五輪精神を踏みにじる」
 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/790013

 コロナ禍で、感染拡大の不安が高まる中、原則無観客で実施される大会で、より一層、重要なのは何のために開催するのか、というビジョンの共有である。
 日々、練習に励む選手たちのためにも、組織委は、人種や性別、障がいの有無などあらゆる面での違いを肯定し、互いに認め合う社会の実現という東京五輪のビジョンを改めて胸に刻む必要がある。

【7月20日付】
▼朝日新聞「コロナ第5波 命を救う準備を急げ」
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14981065.html

 五輪の選手や関係者が続々と来日している。国籍を問わず、感染者が必要な手当てや治療を受けられない事態は回避しなければならない。開催を強行する国が負う当然の責務だ。

▼毎日新聞「五輪『バブル方式』に穴 主催者の危機意識足りぬ」
 https://mainichi.jp/articles/20210720/ddm/005/070/154000c

 対策のほころびが次々と明らかになる中、主催者からは危機意識を欠いた言動が続いている。
 (中略)IOCや組織委は感染状況や国民感情に配慮し、丁寧な大会運営を心がけなければならない。今の姿勢では、不安が増すばかりだ。

▼産経新聞「五輪観客問題 選手の声に耳を傾けたい」
 https://www.sankei.com/article/20210720-6DGSKRIXR5PJJPSXTXIZPK7C5Y/?theme=tokyo2020

 日本の観客だけでは外国選手に不公平だとする声もある。これはあまりにスポーツの現場を知らない。日本のファンが対戦相手にも声援を惜しまぬ姿は2002年、19年のサッカー、ラグビーのワールドカップでも驚きとともに世界に称賛された。子供たちの真剣なまなざしは、必ず遠来の選手たちにも力を与えるはずだ。

▼徳島新聞「バッハ氏への非難 責任は首相に問うべきだ」
 https://www.topics.or.jp/articles/-/561234

 開催国政府の意向を無視してIOCが強行したのなら非難も致し方ない。しかし菅首相は一度も中止や延期を提案していない。五輪開催はIOCの使命であり自主的な中止や延期を求めるのはお門違いである。
 IOCが絶対権力者であるような流れを作ったのは、首相自身だ。国会論戦では「私自身は主催者ではない」と、IOCを前面に押し出して、追及をかわし続けた。
 (中略)
 政治家の皮算用に乗せられてはならない。注目は、史上初の無観客五輪がどこまで盛り上がるか、感染防止が成功するかどうか、である。アスリートの熱戦を楽しむ一方で、為政者たちの振る舞いを注視していきたい。

▼高知新聞「【迫る五輪開幕】感染対策の『穴』が目立つ」
 https://www.kochinews.co.jp/article/472597/

 五輪開催に突き進んできた菅義偉首相は「安全安心」「国民の命と健康を守る」と言い続けてきた。しかし、共同通信が17、18日に行った世論調査では、東京五輪・パラリンピックによる感染拡大に不安を感じる人は87%にも上っている。
 国民は不安を解消できないまま開幕を迎えることになる。政府、組織委などは対策を徹底し、「安全安心」への責任を果たすべきだ。

▼南日本新聞「[コロナ下の五輪] 安全守る対策 総点検を」
 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=140560

 菅義偉首相はコロナ下で開催する東京五輪の意義について「世界が一つになり、難局を乗り越えていけることを発信したい」と繰り返す。
 だが、今の状況で国民の「安全」を守れるのか、はなはだ心もとない。政府は危機感を強く持って対策を総点検しなければならない。

▼沖縄タイムス「[五輪と内閣支持率]早くも危機的な状況に」
 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/789340

 緊急事態宣言下の五輪が、支持率急落の政権によって担われる。それこそ「政治の危機」と言うべきだろう。
 危機的な様相が、さまざまな所で表面化し、日本の社会に深い亀裂と分断を生んでいる。
 菅首相はその現実を直視しなければならない。
 (中略)
 スポンサーは「無観客」に不満を漏らし、五輪開催に否定的な市民は有観客方針によって感染拡大が進むことを懸念する。
 行政の混乱と自治体間の亀裂、市民の間で表面化した分断。海外メディアからは、日本滞在中の行動規制に対し、強い不満が寄せられている。
 現時点で早くも明らかになりつつあるのは、東京五輪に誰もが納得できるような「成功」はない、という点だ。
 菅首相は結果責任を負わなければならない。

【7月18日付】
▼神戸新聞「五輪の兵庫勢/選手が全力尽くせる場に」
 https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202107/0014511785.shtml

 東京では五輪開催中に病床使用率がステージ4(爆発的感染拡大)になるとの予測もあり、コロナへの最大限の警戒が必要だ。主催者には選手の命と健康を守る万全の対策を求めたい。
 大会環境はベストにはほど遠いが、兵庫ゆかりの46人とともに、世界のアスリートが全力を尽くせる場となることを願う。

▼西日本新聞「五輪の感染対策 選手包む『バブル』に懸念」
 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/772048/

 開会が近づいても五輪の感染対策は問題点が尽きない。関係者の多くが認識しているはずだが、そうでもない人がいる。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長である。
 先日、小池百合子東京都知事との会談で「日本の皆さんのリスクはゼロ」と語った。菅義偉首相には、感染状況が改善した場合は観客を入れるように検討を求めたという。新型コロナの現状に対して、あまりに無自覚な発言ではなかろうか。
 東京や全国の事前合宿地で感染防止に尽力している人たちがいる。一方で、主催組織のトップがこうした発言をするようでは五輪への不信を招くだけだ。

【7月17日付】
▼産経新聞「五輪の感染対策 ルール順守を徹底させよ」
 https://www.sankei.com/article/20210717-M5FQDFXG4JPZLPC7YKKABBBFD4/

 日本人へのリスクについて、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は「ゼロ」と明言したが、不用意に過ぎる。ワクチン接種の遅れに加え、多くの外国人が来日することを不安視する国民は多い。自身の発言が五輪への賛同を妨げていることを、そろそろ自覚してはどうか。

▼東奥日報「国民の『安全』守れるか/コロナ拡大と五輪」
 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/594226

▼信濃毎日新聞「感染再拡大 不信感が覆うままでは」
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021071700073

 期間中であっても中止する際の基準を明示すべき局面なのに、国際オリンピック委員会のバッハ会長は、菅首相との会談で「感染状況が改善したら観客入りを検討してほしい」と口にしている。
 首相は、大会に関わる5者協議で対応を検討するとだけ説明したとされる。この期に及んでも最悪の事態を想定しない。認識の甘さと無責任さが際立つ。

▼新潟日報「東京感染者急増 地方は波及を警戒せねば」
 https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20210717628950.html

 政府が感染抑止の切り札と位置付けるワクチン接種は供給が追いつかず、接種予約の停止や延期を余儀なくされる自治体が全国で相次ぐ。
 23日開幕の東京五輪は原則無観客になったとはいえ、お盆休みや夏休みシーズンを控え、人の流れは今後、確実に増える。地方は感染拡大の波及を警戒しなければならない。

▼京都新聞「迫る東京五輪 課題と懸念がなお残る」
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/600508

 感染の状況次第では、開催途中であっても大会を継続させられるかどうかの判断を迫られる局面もでてこよう。そうなった時のシナリオは用意されているだろうか。
 課題と懸念は、なお山積している。あらゆる事態を想定して準備に臨むよう、主催者に改めて求めたい。

▼山陰中央新報「コロナ拡大と五輪 国民の『安全』守れるか」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/64059

▼佐賀新聞「コロナ拡大と五輪 国民は『安全』なのか」 ※共同通信
 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/707944

 バブルに穴がないか常時点検するとともに、五輪を発生源としたクラスター(感染者集団)を認知した場合、大会を続行するかどうかを検討しておく必要がある。
 菅首相はコロナ禍で行われる東京五輪の開催意義を巡って「世界が一つになり、難局を乗り越えていけることを発信したい」と繰り返している。さすがに「コロナに打ち勝った証し」との言い回しは封印したようだ。だが、生活や事業がコロナ前に戻るのはいつかという国民が一番知りたいことに答えていないのに、無責任な意義付けだと指摘せざるを得ない。

 【7月16日付】
▼朝日新聞「五輪まで1週間 バブルの穴 尽きぬ懸念」
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14975993.html

 選手・関係者が続々と来日するなか、想定の甘さや準備不足に起因する様々なほころびや混乱が相次ぐ。なにより問題なのは、そうした状態を事実上放置したままにしている主催者および政府の姿勢である。責任感の欠如は、大会への不信と反感を増幅させるばかりだ。

▼福島民友新聞「東京五輪・開幕まで1週間/閉塞感打ち破る活躍期待を」
 https://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20210716-637271.php

 多くの競技が無観客での開催となった東京五輪は開幕まで1週間となった。ただ、大会ムードはまだ低調だ。県勢をはじめとする日本選手団には、新型コロナウイルスの感染拡大による閉塞(へいそく)感を打ち破る活躍を期待したい。

▼中国新聞「バッハ氏の広島訪問 核廃絶誓う気あるのか」
 https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=773414&comment_sub_id=0&category_id=142

 バッハ氏の広島訪問中止を求める市民のネット署名も広がっている。反対の声を押し切ってまで来るなら、核が人類にもたらした悲惨から目をそらしてはならない。今後は、核保有国では五輪を実施しないと、被爆地で明言するくらいの覚悟があってもいいはずだ。巨大ビジネスと化した五輪を、真に「平和の祭典」に変えることを、被爆地で誓ってほしい。
 核兵器廃絶について踏み込んだ発言をできるのか、被爆地訪問を今後の五輪運営にどう生かすのか。被爆地の内外で、核なき世界を求める人々が、厳しい視線を注いでいることを、忘れてはならない。

【7月15日付】
▼日経新聞「感染封じ五輪の安全な運営を」
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK1473I0U1A710C2000000/

 東京五輪の開幕が23日に迫った。選手団が続々と入国し、東京都内の選手村への入村も始まった。一部の競技会場を除き無観客での開催が決まって、不安視されていた新型コロナウイルスの感染への対策は、選手や大会関係者らへ向けたものが中心となる。
 東京都では14日、新規感染者が約2カ月ぶりに1000人を超えた。大会組織委員会や国、都などは、すでに実施している手法やルールに穴がないか、改めて検証するとともに、順守されているかどうかチェックする必要がある。

【7月13日付】
▼産経新聞「福島の五輪無観客 『同調圧力』に屈したのか」
 https://www.sankei.com/article/20210713-D2RPGAVTVVIDTFYKUH4VDO5R6A/

 なぜ五輪だけが無観客を強いられるのか、理解に苦しむ。コロナ禍の初期に横行した「自粛警察」の新たな標的として五輪が悪者に仕立て上げられたような、嫌な空気感に支配されているようだ。
 世界に目を転じれば、英国やブラジルでサッカーの大陸選手権決勝が有観客で行われ、国を挙げての悲喜劇に大騒ぎとなっている。東京の無観客五輪が奇異の目で見られても仕方あるまい。

▼宮崎日日新聞「無観客五輪 開催意義感じられるか注目」
 https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_54737.html

 しかし、安倍晋三前首相が大会の1年延期を決定したときに語った「完全な形での開催」は実現しなかった。菅義偉首相が何度となく強調してきた「ウイルスに打ち勝った証し」としての五輪の実現も難しくなった。それでも開催の意義を感じられる大会になるかどうか。事前の環境整備も含め問われている。

【7月11日付】
▼産経新聞「無観客五輪 中高生観覧の拡大検討を」
 https://www.sankei.com/article/20210711-F53GSTX52NMMRF3KVOHOD2BYV4/

 茨城県はカシマスタジアムで行うサッカーについて、昼間の試合のみ、県内の学校連携チケットによる観戦を可とした。大いに参考にすべき決断である。
 この方式であれば、県外移動を伴わず、引率教員による直行直帰の徹底も図ることができる。一般観客の入場がなくなった広いスタンドでは、十分に人と人との間隔を取ることもできる。

▼福島民友新聞「五輪の無観客開催/失った信頼の回復に努めよ」
 https://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20210711-635496.php

 新型コロナ対応は人命に関わるだけに、五輪の無観客を含めた縮小は致し方ない面がある。批判されるべきは、その対応を決める際の政府や組織委の混迷ぶりだ。
 内堀知事によると、5者協議前から組織委の橋本聖子会長と頻繁に連絡をとり、無観客が最初に決まった1都3県を除く会場については、一体的な判断を求める考えを伝えていたという。それでも大会まで2週間の時点での決定事項が変更となってしまうのは、政府と、前五輪担当相が会長を務める組織委の調整がうまくできていないと言わざるを得ない。
 五輪を巡る判断のぶれは、国民や国際社会の日本政府に対する信用を失墜させた。信用回復を図りながら、異例の大会をどう運営していくのかが問われる。

【7月10日付】
▼朝日新聞「無観客五輪 専門知、軽視の果てに」
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14968681.html

 今後、感染状況がさらに悪化して医療が逼迫(ひっぱく)し、人の命が脅かされるようなことになれば、聖火がともった後でも中断や中止に踏み切る。それだけの覚悟を固めておく必要がある。

▼読売新聞「東京五輪無観客 テレビ観戦でエールを送ろう」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210709-OYT1T50298/

 昨年、五輪を延期した際、当時の安倍首相は「完全な形で実現する」と述べた。しかし、その後はワクチン接種の遅れなど、政府の不手際が目立ち、国民の不安を払拭することができなかった。
 会場での観戦を心待ちにしていた国民も多かったはずだ。選手も落胆しているだろう。政府は、開幕直前になって方針変更を迫られることになった見通しの甘さを謙虚に反省してもらいたい。

▼日経新聞「無観客に油断せず感染対策の徹底を」

 開幕を23日に控えた東京五輪は東京都と神奈川、埼玉、千葉の各県の競技会場で観客を入れずに開催することになった。大会組織委員会、都、国際オリンピック委員会(IOC)などによる5者協議に加え、3県との調整を経て最終的に決定した。
 都内で新型コロナウイルスの感染者が急増し、政府が4度目の緊急事態宣言を出したことを踏まえたものだ。

▼北海道新聞「道内まん延解除 五輪の無観客は当然だ」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/565442?rct=c_editorial

 菅義偉首相が言う安全安心の大会を目指すなら、道民の命と健康を最優先に無観客で開催するのは論をまたないはずだ。結論に至るまでに道と組織委の調整が迷走したことは理解できない。
 今後、円滑で安全な大会運営を進めるために両者の緊密な連携が欠かせない。今回の混乱劇に不安を覚えた道民は少なくないのではないか。道は組織委との協議の経緯について詳細に説明すべきだ。

▼東奥日報「開催意義を実感させよ/五輪 首都圏無観客」
 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/584748

 バッハIOC会長が言う「誰もが犠牲を強いられる大会」になるのは明らかだ。観客と喜びを共にしたいと望んでいた選手、会場で観戦できるはずだった市民はさぞかし残念だろう。
 それでも開催に懐疑的な人、開催を持ちわびている人が共に意義深く感じる大会にしなくてはならない。菅首相らにはその責務がある。

▼秋田魁新報「五輪4都県無観客 厳しい安全対策が必要」
 https://www.sakigake.jp/news/article/20210710AK0018/

 緊急事態宣言下での大会開催が、本来は必要な個々人の感染対策に緩みをもたらす不安も拭えない。特定の場所に集まって大声で応援するなどして感染を広げる可能性もあるからだ。
 そうした事態を引き起こさないため、政府は厳しい安全対策を講じる必要がある。それができなければ、五輪を通じて全国、世界に感染が再拡大する状況も発生し得る。五輪開催の政治責任は、かつてないほど重いと言わなければならない。

▼山形新聞「五輪首都圏で無観客 開催意義を実感させよ」
 https://www.yamagata-np.jp/shasetsu/?par1=20210710.inc

▼新潟日報「緊急事態と五輪 感染防止に全力を尽くせ」
 https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20210710627642.html

 改めて疑問を覚えるのが首相の姿勢だ。五輪を次期衆院選に向けた政権浮揚策と位置付け、有観客に固執していたという。反対が根強かった国民意識とあまりに距離がある。
 首相は宣言決定後の会見で五輪開催の意義について「難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」と訴えたが、どれだけ国民の胸に響いたか。
 何度も宣言が発令される現状は、首相の中途半端な姿勢が原因とさえ見える。
 国民に負担を強いる中での五輪開催に、批判や不満の声が強まっている。
 ワクチン接種を巡っては、供給の見通しが立たず、本県などの自治体で予約を一時停止するなど混乱が広がっている。
 首相は感染抑止へ、もっと覚悟を持って取り組むべきだ。

▼中日新聞・東京新聞「五輪無観客に 混乱招いた遅い決断」
 https://www.chunichi.co.jp/article/288135?rct=editorial

 大会の一年延期を決めた後、政府は「コロナに打ち勝った証し」「完全な形で開催する」などと楽観論を振りまいてきた。四月の予定だった観客数の上限決定を六月に先送りするなど、多くの観客を入場させて大会の「見栄え」を良くするために、無理を重ねてきたのではないか。
 その間、専門家の警鐘は軽視されてきた。厚生労働省に助言する専門家組織は今月二十三日の開会式前後に四回目の宣言が必要になると試算していた。政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長らも「無観客」を提言していた。
 命を守るために、首相らはもっと早く決断すべきだった。

▼福井新聞「緊急事態宣言下の五輪 開催の大義はどこにある」
 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1354633

 五輪憲章は、人間の尊厳に重きを置く平和な社会を推進させるためにスポーツを役立てることをオリンピズムの目的に定める。五輪という競技会は単なるスポーツイベントでない。友情、連帯、フェアプレーの精神、そして相互理解の理念を世界が一緒になって体現していく場なのだ。
 内実は伴っているか。開催の大義は失われていないか。開幕までのわずかな時間で突き詰めねばならない。

▼京都新聞「無観客の五輪 重大なリスク残ったままだ」/持てる最後のカード/専門家の警告聞かず/最悪の事態に備えを
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/595824

 大会期間中、国内の感染拡大を確実に抑え込めるかどうかは未知数だ。人の動きの増加によって感染爆発など最悪の局面が生じた場合、五輪を続行するのかどうかの判断基準を国民に示しておく必要もあるだろう。
 あらゆる事態に備え、感染リスクを最小化することが政府の責務である。

▼神戸新聞「宣言下の五輪/無観客でも安心できない」
 https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202107/0014487635.shtml

 開幕2週間前まで二転三転した判断に、チケット購入者やボランティアら多くの人が翻弄された。有観客での開催にこだわり迷走を重ねた菅義偉首相の責任は極めて重い。
 東京五輪は緊急事態宣言下で開かれる異例の大会となる。国民の不安は大きいと言わざるを得ない。
 感染抑止のために国民に我慢を強いる一方で、世界最大級のイベントである五輪を開く。それ自体が矛盾をはらむ。首相は会見で「全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていける」と述べたが、不安の解消につながる具体策は示せなかった。感染状況がさらに悪化する事態に陥れば、期間中でも大会の縮小や中止をためらってはならない。

▼山陽新聞「無観客の五輪 感染広げぬ対策を尽くせ」
 https://www.sanyonews.jp/article/1150412?rct=shasetsu

 無観客でも大会関係者を通じた感染拡大への心配は残る。五輪には選手・役員らを含めて約5万人の来日が見込まれる。新型コロナ対策の規則集などに基づき、一般国民と接触がないように行動制限し、違反した場合は参加資格の剥奪など厳しい対応を取るという。水際対策も含め、感染対策の徹底に全力を挙げてもらいたい。

▼中国新聞「『無観客』五輪 開催意義、正面から語れ」
 https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=771609&comment_sub_id=0&category_id=142

 開幕まで2週間を切る中、大会運営は大幅な見直しを強いられ、さらなる混乱も懸念される。無観客で感染リスクは低減できるだろうが、不安材料は尽きない。国際オリンピック委員会(IOC)や政府は、感染状況が悪化すれば、大会の縮小や競技の打ち切りなども想定しておくべきだ。

▼山陰中央新報「無観客五輪 開催意義を実感させよ」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/60525

▼徳島新聞「コロナ下の五輪 完全無観客にすべきだ」
 https://www.topics.or.jp/articles/-/556463

 解せないのは、無観客が5都道県にとどまり、他の4県の会場は観客を入れるほか、IOCや競技関係者らは「別枠」として観戦が認められることだ。
 これでは人流を止めることはできないし、国民の納得も得られまい。各地の会場で感染が再拡大する可能性もある。全会場を完全無観客にすべきである。
 宣言の発令により、水際対策や参加者の感染予防策などをまとめたプレーブック(規則集)なども変更を余儀なくされる。残された時間も少なく、現場の負担は増す一方だが、混乱を来さないよう早急に修正し、実行に移してもらいたい。

▼西日本新聞「1都3県無観客 『安心な五輪』には程遠い」
 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/768127/

 緊急事態宣言を含む感染対策は国民に負担や痛みを強いて、イベントや地域行事の中止も迫った。その不満は、最後まで開催の是非を検討することのなかった五輪にも向けられている。
 今聞きたいのは「無観客」にしてまでも五輪を開催する意義と、不安をなくすための具体策である。菅首相や橋本聖子組織委会長から国民に語り掛けるメッセージが伝わってこないのは残念でならない。

▼佐賀新聞「無観客五輪 開催意義を実感させよ」
 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/704218

▼沖縄タイムス「[五輪と首相判断] 国会で説明責任果たせ」
 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/783946

 異例で異様な状況だ。
 約2週間後に迫った東京五輪が緊急事態宣言下での開催を余儀なくされる。五輪競技のうち1都3県での開催分は無観客で行われる。前代未聞の決定だ。
 なぜそうなったのか。菅義偉首相は開催国のトップとして国内外にその理由を説明する責任がある。

【7月9日付】
▼朝日新聞「4度目の宣言 矛盾する『発信』に懸念」
 https://www.asahi.com/articles/DA3S14967238.html

 「東京五輪は無観客が望ましい」とした先日の専門家らによる提言は、観客を入れることが「感染対策を緩めてもいい」という「矛盾したメッセージ」になるリスクを指摘した。観客の有無にかかわらず、五輪の開催自体がその矛盾をはらんでいるとみるべきだろう。

▼毎日新聞「宣言下で五輪開催へ 感染爆発防ぐ対策見えぬ」/遅れる経済・生活支援/全面無観客が大前提だ
 https://mainichi.jp/articles/20210709/ddm/005/070/128000c

 今後、感染の急拡大で医療体制が崩壊するような最悪の事態も起こりうる。主催者は状況に応じ、大会の中止や競技の打ち切りといった選択肢も想定しておく必要がある。

▼読売新聞「緊急事態宣言 規制強化は丁寧な説明が要る」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210708-OYT1T50269/

 菅首相は記者会見で、「東京を起点とする感染拡大は絶対に避けなければならない」と述べた。東京五輪・パラリンピックについても、無観客を含め、安全な開催に万全を尽くすことが重要だ。

▼日経新聞「緊急事態宣言は最大限の効果引き出せ」

 東京に4度目の緊急事態宣言が出る。感染者が増え続ける一方、頼みの綱のワクチンの接種率はまだ低い。東京五輪を間近に控え人の動きが増える前に、政府が対策を強化するのはやむを得ない。

▼産経新聞「コロナ緊急事態 五輪『無観客』は大失態だ 宣言は4回目を最後とせよ」/「公約の破棄」に等しい/ワクチン接種の徹底を
 https://www.sankei.com/article/20210709-E5VQOQMLWZIYFBJG7SKVUIYXSM/

 東京五輪は8年前、大会の成功を約束して招致に成功した。昨年3月に安倍晋三前首相が大会の1年延期をIOCに提案した時点で、政府はコロナとの戦いに打ち勝った証しとしての五輪開催に責任を負ったはずである。

 世界も、日本のコロナ対応と開催準備能力を信じ、期待して、1年の延期を了承した。

 「無観客開催」は公約の破棄に等しく、ホスト国として恥ずかしい大失態である。 

▼北海道新聞「緊急事態宣言下の五輪 『安心安全』の状況にない」/判断の誤り直視せよ/火に油となりかねぬ/接種体制の再構築を

 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/564998?rct=c_editorial

 首都圏1都3県の会場は無観客で開催する方針が固まった。当然だが、それで菅義偉首相の言う「安心安全」が保証される状況にはならないだろう。
 首相はきのうの記者会見でも、安心安全の根拠を示せなかった。
 政府がコロナ対策の切り札と頼むワクチン接種も供給が見通せなくなり、混乱が生じている。
 迷走を繰り返す首相の責任は極めて大きい。

▼河北新報「都に4度目『緊急事態』/名ばかりにしてはならない」
 https://kahoku.news/articles/20210709khn000002.html

 インドで確認された感染力が強い変異株「デルタ株」は、五輪が開幕するころには感染の7割程度を占めると国立感染症研究所は推計する。
 祝祭ムードをまとう五輪が人の流れを誘発し拡散させるのは間違いない。宣言を名ばかりにしないためには、五輪を例外扱いしてはならない。
 国と都のメッセージが空回りしている。若者を中心に切迫感を持って受け止めてもらうよう、心に響くための方策を練り直さなければ、宣言の効力は期待できまい。

▼東奥日報「政府の状況認識甘かった/東京に4度目緊急事態」
 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/583119

 東京五輪は、感染拡大の「第5波」が現実味を帯びた中で迎える。政府が今、全力を尽くすべきは、各国からの五輪選手団・関係者らに限らず、スタジアムの外で日々の暮らしを送り、間もなく夏休み、盆休みを迎えようとしている大多数の国民の命と健康を守ることだ。

▼秋田魁新報「東京に4度目宣言 全国への波及、阻止せよ」
 https://www.sakigake.jp/news/article/20210709AK0014/

 専門家は感染力の強いデルタ株の脅威、宣言解除による気の緩みによる感染再拡大などを再三にわたって警告。警鐘を鳴らすシミュレーションも示していた。
 政府はこうした専門家の警告を結果的に軽視してきた。専門家の声を政策に反映する姿勢を欠いた政府の責任は極めて重いと言わざるを得ない。

▼山形新聞「東京4度目の緊急事態 政府の認識が甘かった」
 https://www.yamagata-np.jp/shasetsu/index.php?par1=20210709.inc

▼信濃毎日新聞「宣言下の五輪 無観客でも『安心』はない」
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021070900163

 菅首相はきのうの会見で、世界中の人々の心を一つにし、パラリンピックを通じて「心のバリアフリー」を発信できると、両大会の意義を強調した。
 健康と暮らしに重圧がかかる現実の中、情緒的な言葉は国民に響くだろうか。安全安心な大会を目指す策として首相が示したのは、テレワークや交通規制といった従来の対策にすぎない。
 ワクチンが行き渡るまで感染抑制に集中すべき局面にある。国民の理解と協力を得られる発信力と具体策がない。無観客でも開催してはならない。

▼中日新聞・東京新聞「4度目の宣言 対策の迷走が目に余る」
 https://www.chunichi.co.jp/article/287434?rct=editorial

 感染は再拡大の局面にある。都内は人出増が続く=写真。七日の厚生労働省の専門家会議によると感染者増だけでなく、入院者数、重症者数ともに増加に転じている。宣言発令はやむを得ない。
 宣言で対策徹底を図ろうという意図は分かるが、この間の政府対応の迷走ぶりは目に余る。

▼福井新聞「東京に4度目緊急事態宣言 政府の状況認識甘すぎた」
 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1353861

 宣言解除後の感染再拡大を予測した専門家の意見を軽視し、変異株の拡大や人流の増加に対処できなかった政府。直前まで重点措置の延長で乗り切ろうとしていたが、それでは対応しきれない事態に至った。状況認識が甘すぎたと言わざるを得ない。

▼京都新聞「またも緊急事態 甘かった政府の見通し」
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/595180

 東京五輪開催に向け、首都圏4都県で取り組んできた感染防止対策が奏功せず、心配されたリバウンド(再拡大)を招いたためだ。政府の見通しは甘かったと言わざるを得ない。
 感染力が強いデルタ株の拡大が懸念されている。東京から全国に感染を広げないよう、実効性ある対策の強化が改めて求められる。

▼神戸新聞「東京に緊急宣言/国民が理解できる説明を」
 https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202107/0014484573.shtml

 東京五輪は緊急事態宣言下での異例の開催となる。1都3県は無観客とする方針に転じたが、開催することによる感染拡大のリスクをどう防ぐか。首相は、国民の理解を得られる説明を尽くさなければならない。

▼山陰中央新報「『東京に4度目宣言』 状況認識が甘かった」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/59958

▼高知新聞「【東京五輪】緊急事態なら中止が筋だ」
 https://www.kochinews.co.jp/article/470161/

 五輪の規模はほかのスポーツイベントと異なる。無観客でも関係者らの入国で人の流れは増え、感染リスクの増大は避けられない。国民の命や健康への影響が懸念される状況では五輪を中止するのが筋である。

▼西日本新聞「東京に緊急事態 地方への波及食い止めよ」
 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/767509/

 政府は新たに、時短営業や酒類提供の停止で苦境に立つ事業者へ協力金を前払いする施策を打ち出した。かねて必要性が叫ばれていた措置である。東京ではこの半年、緊急事態と重点措置が交互に繰り返され、「もはや我慢も限界」という声が聞こえる。さらなる支援策の拡充も検討すべきだろう。
 専門家は「首都圏での感染拡大が数週間後に地方に波及する事態が再び懸念される」とも指摘する。重点措置が解除される地域は、ここで気を緩めることなく、感染対策をいま一度、入念に点検してほしい。

▼佐賀新聞「東京に4度目緊急事態宣言 政府の状況認識甘く」※共同通信
 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/703547

▼南日本新聞「[五輪無観客開催] 甘い感染対策の結果だ」
 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=140024

 政府はまん延防止等重点措置の継続で乗り切り、観客を入れて開催する方針だった。だが、都内の新規感染者が想定を超えて急増、このままでは医療提供体制が逼迫(ひっぱく)する恐れも出てきた。
 宣言の発令に踏み切り、無観客開催に急きょ転換するしかなかったと言えるだろう。後手に回ったとはいえ当然の判断だ。これまで専門家の提言を軽視してきた菅政権の責任は重い。

【7月8日付】
▼宮崎日日新聞「東京都議選 政権不信任との意思表示だ」
 https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_54620.html

 都議選結果について菅首相は「謙虚に受け止めさせていただく」とした一方、観客上限数はあくまでも政府や大会組織委員会などの5者協議で決定する考えを強調。ルール上はそうであっても、選挙で示された民意への配慮がうかがえない発言には疑問を持たざるを得ない。

▼琉球新報「緊急事態発令・延長 臨時国会を召集すべきだ」
 https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1351182.html

 これまで政府は緊急事態宣言の発令と解除を繰り返した。1月の発令が遅れたのは、政府が「GoToキャンペーン」にこだわったからとも言われる。3月の全面解除は「早過ぎる」との声を聞き入れようとせず第4波を招いた。3度目の緊急事態宣言もデルタ株の影響が懸念される中で解除し、今回の再宣言となった。専門家の意見を重く受け止めない政権の姿勢が、事態の鎮静化を遅らせている。

 果たして23日に開会式を迎える東京五輪は感染拡大に影響しないのか。政府は国民に説明する責任がある。

【7月7日付】
▼北海道新聞「迫る東京五輪 無観客を目指すべきだ」
 https://www.hokkaido-np.co.jp/article/564175?rct=c_editorial

 そもそも五輪に対しては中止や延期を求める世論がなお根強い。
 このまま菅義偉首相の言う安全安心な開催が可能か、多くの国民が疑問に感じているだろう。
 それでも開催するなら、無観客とするのがもはや最低限の条件ではないか。

▼河北新報「五輪5者協議再開催へ/全て無観客が現実的対応だ」
 https://kahoku.news/articles/20210707khn000005.html

 感染対策などを考えても、全面的な無観客が現実的な対応だ。ただ、一部会場ではまだ、有観客開催での可能性もあるという。開幕まで2週間余りの時点で、スキームが固まっていないこと自体が、大会に関わる関係者の混乱や、多数の国民の不信感を招いていることは言うまでもない。
 (中略)
 「5者協議」という民主的なようで責任が曖昧な形での決定が、混乱や不信を拡大させてきたのではないか。今回も、その繰り返しにしてはいけない。

▼東奥日報「国政への不信感の表れ/都議選 自公過半数届かず」
 https://www.toonippo.co.jp/articles/-/579811

 23日開幕の五輪では、観客の上限数が揺らいでいる。6月に決めたばかりの「定員の50%以内で最大1万人」はコロナ再拡大で実現困難との見方が強い。外国選手団らの水際対策の不備もあり、「万全の準備」「安全、安心な大会」の言葉が有権者には空虚に響いただろう。

▼新潟日報「都議選自民苦戦 政権への不信感が表れた」
 https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20210707627017.html

 政権が「五輪開催ありき」で突き進む中、開催都市の選挙で論戦から逃げるような態度を取る。党利党略的な動きへの反発も要因ではないか。

▼神戸新聞「東京都議選/政権への不信受け止めよ」
 https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202107/0014478590.shtml

 五輪の在り方について、自公は争点化を回避した。これに対し、大会中止や再延期、無観客開催などを支持する政権批判票が、都民ファなどに集まったことがうかがえる。

▼山陰中央新報「東京都議選 政権不信と受け止めよ」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/58893

 だが、都議選結果について菅首相は「謙虚に受け止めさせていただく」と述べる一方、観客上限数はあくまでも政府や大会組織委員会などの5者協議で決定する考えを強調した。ルール上はそうであっても、選挙で示された民意への配慮がうかがえない発言には、疑問を持たざるを得ない。

【7月6日付】

 以下の記事にまとめています。

news-worker.hatenablog.com

【7月5日付】
▼読売新聞「東京都議選 政治への不安と不満が表れた」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210705-OYT1T50088/

 小池百合子都知事が創設した地域政党「都民ファーストの会」は議席を減らしたが、多くの選挙区で自民党などと激しく競り合った。東京五輪・パラリンピックの無観客開催を掲げたことで、無党派層を取り込んだと言える。
 五輪の「中止」を訴えた共産党も堅調に得票を重ねた。
 選挙戦では五輪の賛否以外に各党の政策の相違点が見えにくく、論争は盛り上がらなかった。

▼福島民報「【東京五輪 文化プログラム】県の代替策に期待」
 https://www.minpo.jp/news/moredetail/2021070588128

 文化イベントの中止などを受け、県は震災から十年間に寄せられた支援への感謝の思い、復興の決意などとともに本県の文化を発信する代替事業を検討するという。このような取り組みの積み重ねが五輪開催地のレガシー(遺産)となり県勢を進展させるはずだ。ただ、イベントだけが手段ではない。野球とソフトボール競技に合わせ、約二十の国・地域の駐日大使らが来県する。これを将来的な文化交流につなげられないか知恵を絞りたい。

【7月3日付】
▼毎日新聞「五輪・パラの学校観戦 子供の安全優先し中止を」
 https://mainichi.jp/articles/20210703/ddm/005/070/142000c

 コロナ下で開かれる大会の感染リスクを最小限にするには、会場に観客を入れるべきではない。
 まして子どもを、リスクの高い場所に集団で連れていくことは望ましくない。子どもが大人の意向に背いて自らの行動を決めることは難しい。大人には安全を守る責任がある。
 現状では、参加の判断は自治体や学校任せとなっている。しかし、感染リスクを適切に評価できるだけの材料を持ち合わせていない場合が多い。
 政府と組織委はこうした状況を踏まえ、責任をもって早急にプログラムを中止すべきである。

▼信濃毎日新聞「コロナ禍の五輪 安全安心は遠のくばかり」
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021070300127

 感染抑止を優先するほど、選手や観客、報道関係者らにとり、不公平で矛盾した面をはらむ大会運営にならざるを得ない。
 (中略)
 観客を入れての開催にこだわる菅義偉政権や大会組織委員会の意向が、開幕まで3週間になっても方針が定まらない事態を招いている。相反するケースを想定して準備を急ぐ現場の労苦に、少しは思いを巡らしてはどうか。
 「無観客が最も望ましい」と提言した専門家有志が、再拡大の兆候が表れれば迷わず強い対策を取るよう強調したのを、政府と組織委は忘れてはならない。

▼高知新聞「【東京五輪】無観客で感染を抑えよ」
 https://www.kochinews.co.jp/article/468759/

 観客の応援を受けて選手たちが最大限のパフォーマンスを繰り広げる。そんな光景をもちろん期待したい。しかし、人との接触を減らすことがリスク軽減の基本と考えれば、無観客をためらってはならない。
 各国選手団の入国も本格化してきた。選手らの行動は厳格に管理されるという。ほころびが生じないように徹底したい。そして、コロナの状況次第では、中止という選択肢があることを排除してはならない。

【7月2日付】
▼毎日新聞「感染再拡大と五輪 速やかに無観客の決定を」
 https://mainichi.jp/articles/20210702/ddm/005/070/094000c

 高齢者へのワクチン接種は進んでいる。だが、ワクチンの効果で今後は重症者数がそれほど増えないと過信し、他の対策が後手に回ることがあってはならない。
 五輪をめぐり、科学的知見を軽視する政府の姿勢が目立つ。事態をこれ以上悪化させないため、専門家の意見を最大限に尊重して対策を講じていくべきだ。

▼信濃毎日新聞「東京リバウンド 封じる戦略が見えない」
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021070200134

 菅義偉首相は「高い警戒感を持って対策を徹底する。状況をよく見て、必要な対策を機動的に講じる」と述べた。加藤勝信官房長官は「医療逼迫(ひっぱく)の兆しが見られた場合には、対策強化も含め機動的に対処したい」とする。
 どんな状況になったら、どんな措置を取るのか不明だ。当たり前のことしか話さず、重大さも伝わらない。誰もが分かる明確な基準と対応をあらかじめ示し、現状を評価して説明するべきだ。
 (中略)
 この国の感染対策は本当に大丈夫か。「安全安心」ばかりを口にしながら、このままずるずると五輪に国民を引き込むことはやめてもらいたい。

▼京都新聞「東京の感染拡大 急激な増加を抑えねば」
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/591398

 気になるのは、五輪の観客問題だ。先月21日に開かれた政府や大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などの5者協議で決めた「定員の50%以内で最大1万人」の原則は、重点措置の解除が前提だ。
 五輪開幕まであと3週間となった。重点措置が継続されれば、入場者数は見直さざるを得ない。
 5者協議では、感染状況が悪化した場合は、無観客を含めて対応を取ることで一致している。
 菅義偉首相は「命を守ることが最優先」と繰り返している。
 感染状況を見極め、国民生活の安全安心を踏まえた現実的で責任ある決断が求められる。

▼山陰中央新報「五輪コロナ対策 水際の『穴』をふさげ」
 https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/56572

▼西日本新聞「職域接種の迷走 思惑先行、見通し甘過ぎる」
 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/763963/

 菅政権による一連のコロナ施策で目立つのは、中長期的な視点を欠いた場当たり的な対応である。今回の事態も、東京五輪の有観客開催やその成果を次期総選挙でアピールする狙いから接種ルートの拡大に走り、つまずいた印象が拭えない。
 ワクチン接種が急がれるのは言うまでもなく五輪のためではない。あくまでも国民の命を守り、安心安全な日常を早く取り戻すためだ。政治的な思惑の先行などあってはならない。

▼宮崎日日新聞「五輪コロナ対策 想定外前提に現実的対応を」
 https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_54488.html

 大会参加選手は約1万1千人。1日には入国ラッシュが始まった。このタイミングで、大阪府泉佐野市で合宿するため来日したウガンダ選手団の2人が新型コロナウイルスの陽性者と確認された。事前には想定できなかった形での大会関係者の感染が、今後も起こりうることを示した事例だ。
 選手団の入国直後の陽性判定と濃厚接触者の確認作業をどのように進めるか、大きな課題となった。それこそが感染防止体制の「穴」をふさぐ上の鍵を握る。政府や自治体はより実効性の高い態勢を構築するため、知恵を絞らなければならない。

【7月1日付】
▼福井新聞「五輪コロナ水際対策 バブルの『穴』急ぎふさげ」
 https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1348470

 バブル方式は理論上は効果があるのは間違いないだろう。ただ、選手団の入国直後の陽性判定と濃厚接触者の確認作業をどう進めるのか、それこそが感染防止体制の穴であり、急ぎふさぐことが鍵になると今回、鮮明になったといえる。他にも穴がないか想像力を働かせ、丁寧な作業を積み重ねる以外にない。

▼南日本新聞「[五輪とコロナ] 実効性ある水際対策を」
 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=139549

 政府や大会組織委員会は、選手らが外部との接触を断つ「バブル」方式を採用している。多くの国際競技大会でも実践される感染防止の考え方だ。
 しかし、感染者が選手村など「バブル」の中に入ってしまえば一転してクラスター(感染者集団)化するリスクが高くなる。合宿地やバブル内での感染拡大で、五輪の盛り上がりは一気にしぼみかねない。関係機関には一層の緊張感を持った感染対策を望みたい。

【6月30日付】
▼山形新聞「東京五輪のコロナ対策 入国直後の『穴』ふさげ」
 https://www.yamagata-np.jp/shasetsu/?par1=20210630.inc

 同じ便で長い飛行時間を共にしていながら、空港で濃厚接触者の判定対象とならないシステムは合理性を欠く。受け入れ先の保健所がそれを判定するとの現行ルールは至急、見直しが必要だ。
 (中略)
 水際対策として、空港での検疫と、選手団を受け入れる自治体の保健所が2重の関門を担う現行の枠組みは、有効な代替案を見いだせない中では維持するのが賢明だろう。それでも、それぞれの活動内容については、より現実に即した、効果的な対応を模索すべきだ。

▼福島民友新聞「五輪の観戦/あらゆる事態へ備え万全に」
 https://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20210630-631362.php

 ソフトボールと野球が行われる福島市のあづま球場の観客数は7千人程度になる見通しだ。3万人の収容人員を大幅に下回るとはいえ、観客の検温やチケット、手荷物の確認など、会場内外で大会関係者、警備員やボランティアなど大勢の人が活動する。当初想定されていた世界各国からの観戦者はいないものの、あらゆる事態に備えておくことが欠かせない。

▼新潟日報「五輪の水際対策 政府の危機感十分なのか」
 https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20210630625627.html

 感染拡大の不安に対し、首相はこれまでしっかり感染対策を講じることができるとし、選手らを泡の中に閉じ込めるようにして外部との接触を絶つ「バブル方式」を根拠に挙げてきた。
 だが、選手村などの「バブル」に感染者が入れば、クラスター(感染者集団)が発生するリスクが高くなる。
 感染禍という未経験の状況下での大会運営で、楽観は禁物だ。国民、選手の安心を確保するためにも、対策に漏れはないか、リスクの想定は十分かなどチェックを怠らず、安全対策に反映させなければならない。

▼中日新聞・東京新聞「五輪の水際対策 『安全安心』に募る不安」
 https://www.chunichi.co.jp/article/281739?rct=editorial

 政府は、出国前検査の厳格化や入国時に濃厚接触者の疑いのある人の移動方法などの対応策を検討中だという。それでも感染拡大の懸念は残る。選手団を受け入れる自治体によっては、医療態勢が十分でない地域もある。自治体任せにすべきではない。
 最も重要な対策は一定期間の隔離徹底だ。今年二月のテニス全豪オープンでは、陽性者が出た航空機に同乗していた選手らを二週間の外出禁止にした。こうした実効性ある対策を取らずに、国内外から多くの人を集める大規模なイベントを開催していいのだろうか。

【6月29日付】
▼読売新聞「五輪の感染対策 これで安全に開催できるのか」
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210628-OYT1T50229/

 国内では、変異ウイルスの感染が拡大し、東京では感染者数が再び増加する兆しがある。多くの国民が五輪開催による感染拡大を心配している。今回のような事態が続けば不信感は増すばかりだ。
 五輪の開催は、安全安心の確保が大前提である。それが実現できるかどうかの瀬戸際にいることを政府は自覚する必要がある。
 観客を入れることにこだわるあまり、万一、会場で集団感染が発生したら取り返しがつかない。感染防止を最優先に、無観客を含めた対応も検討すべきである。

▼京都新聞「五輪水際対策 『すり抜け』に不安募る」
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/589539

 濃厚接触者の調査には、飛行機の座席状況などをチェックする必要があり、自治体には荷が重い。
 しかし政府は、自治体向けの指針を月内にも改定し、相手国などに事前に確認しておく事項を具体的に記載するという。
 入国者の増加に伴い、保健所業務が逼迫(ひっぱく)することも考えられる。政府は対応を過度に自治体任せにせず、情報共有を進めて遅れのない対応をとることが必要だ。

▼高知新聞「【五輪水際対策】事前にリスク最小化を」
 https://www.kochinews.co.jp/article/467509/

 大会は、選手らと外部の接触を断つ「バブル方式」を採用し、大会組織委員会や政府は「安全安心」を強調してきたが、最初の水際で感染者の入国を防げなかった事実は重い。選手団の入国ラッシュはこれからだ。事態をしっかり検証し、早急に対策を練り直す必要がある。

【6月28日付】
▼沖縄タイムス「[五輪水際対策に「穴」]空港での態勢強化せよ」
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/777158

 組織委の幹部は27日のNHK番組で、濃厚接触が疑われる人は判定前でも隔離する必要があるとの考えを示した。選手団は日本までの長時間の移動を共にしており、当然のことだ。空港での態勢を強化してもらいたい。
 国は今回の事態を受け、ホストタウンの自治体向けの指針を改定する方針を固めた。陽性者が出た場合の自治体側の対応について手順などを明確化するという。
 役割分担を明確にすることは重要だが、自治体に負担がかかりすぎないよう国も積極的に支援すべきだ。

【6月27日付】
▼朝日新聞「五輪感染対策 『穴』次々 健康どう守る」
https://www.asahi.com/articles/DA3S14953081.html

 「検査と隔離」のあり方全般を急いで洗い直す必要がある。東京五輪の水際対策の不備が早くも目に見える形となってあらわれた。「安心安全」をただ唱えるだけでは意味がない。大事なのは実践だ。
 来日したウガンダ選手団から新型コロナの感染者が見つかった。全員ワクチンを接種し、所定の陰性結果証明書を提出していたが、ウイルスはこれを軽々と乗り越えて「入国」した。

▼毎日新聞「東京五輪の水際対策 『バブル方式』欠陥が露呈」
https://mainichi.jp/articles/20210627/ddm/005/070/010000c

 田村憲久厚生労働相は、選手らと自治体職員との接触について「本来あってはならないことだ」と述べた。だが、職員が出迎えや移動の補助などのため選手らと接触することは避けられない。
 これでは自治体に責任とリスクを押しつけていると批判されても仕方がない。
 地域のコロナ対策の最前線に立つ自治体は、ワクチン接種も進めなければならない。五輪選手団の受け入れに伴う濃厚接触者の調査はさらなる負担になる。

【6月26日付】
▼朝日新聞「都議選告示 くらし一変、重い一票」
https://www.asahi.com/articles/DA3S14951738.html

 五輪開催の是非や観客の有無をめぐって各党の主張は分かれるが、共通するのは「その後」に待ち受ける重荷だ。都が大会に向けて投じる費用は総額1兆4500億円と、「コンパクト五輪」をうたって招致したときの約2倍に膨らんだ。
 さらに、都内の飲食店12万軒への休業・時短要請に伴う協力金など、コロナ対策関連の支出が増え続けている。一方、企業の苦境で昨年度の税収は9年ぶりに落ち込み、1兆円近くあった都の「貯金」は今年度末には2割強にまで減ると予想される。傷んだ財政の立て直しに議員も知恵を絞らねばならない。

▼毎日新聞「東京都議選が告示 コロナと五輪が問われる」
https://mainichi.jp/articles/20210626/ddm/005/070/146000c

 五輪開催を巡ってはスタンスの違いが鮮明だ。
 小池氏は政府とともに観客を入れての開催を目指す。一方、第1党の地域政党「都民ファーストの会」は、開催する場合は「最低でも無観客」を要求している。
 小池氏は前回選では都民フの代表として同党躍進の原動力となった。現在も特別顧問を務める。これまで都政運営で連携してきただけに、主張の違いについて双方とも丁寧に説明すべきだ。

▼読売新聞「東京都議選告示 コロナと五輪以外でも論戦を」
https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210625-OYT1T50436/

 五輪は、各党の立場の違いが鮮明である。無観客を条件に掲げる都民ファーストに対し、開催を前提とする自公は公約に明記しなかった。共産党は中止、立憲民主党は延期か中止を訴えている。
 政府や都は、観客を入れた五輪開催を決めている。各候補は、都民の安全をどう確保するのか、具体策を示してほしい。

▼中日新聞・東京新聞「東京都議選告示 コロナ・五輪、政策競え」
https://www.chunichi.co.jp/article/279446?rct=editorial

 東京はこの一年半、コロナ禍と五輪・パラリンピックという大きな課題に直面してきた。しかし、都議会が建設的な役割をどれだけ果たしたのか、疑問が残る。
 (中略)
 五輪を巡り、小池知事は国と足並みをそろえてきたが、都議会では立場が分かれる。自民、公明は開催を容認し、都民ファは最低でも無観客と訴える。感染状況など条件付きで開催に賛成するのが日本維新の会。中止や延期を求めるのが共産、立憲民主、東京・生活者ネットワークだ。
 コロナ感染拡大が懸念される中、世論調査では無観客や中止を求める声が根強い。今回の選挙結果が、大会の在り方に影響を与える可能性もある。

【6月25日付】
▼北海道新聞「東京都議選告示 『小池政治』問う論戦を」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/559498?rct=c_editorial

 喫緊の課題として大きな争点になるのは、小池百合子都知事が陣頭指揮を執る新型コロナウイルス対策と、目前に迫る東京五輪・パラリンピックへの対応だ。
 小池氏が創設した都議会第1党の都民ファーストの会は五輪について、国が開催を強行するなら最低でも無観客を求めている。
 一方、自民、公明両党は菅義偉政権の方針に沿い、感染対策を取った上での開催を支持する。
 立憲民主党は延期か中止すべきだとし、共産党は中止してコロナ対策に注力するよう主張する。
 東京はリバウンド(感染再拡大)の兆候が明らかだ。首都からの人の移動を通じて感染者が再び全国各地で急増すれば、多くの国民の生命と健康を脅かしかねない。
 各党は徹底論戦し、実効性のある対策に結びつけてもらいたい。

【6月23日付】
▼北海道新聞「五輪の観客上限 命と健康優先し再考を」
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/558614?rct=c_editorial

 科学的知見に基づく戒めを無視するのはなぜなのか。合理的な説明がなく、納得し難い。
 観客を入れて開催すれば人出が増え、接触機会は増し、新型コロナウイルス感染が再拡大するリスクが高まるのは当然だ。
 東京では新規感染者数が下げ止まり、感染力の強いインド由来株のクラスターも確認されている。
 菅義偉首相は「緊急事態宣言が必要になった場合、無観客も臨機応変に行う」と表明した。
 政府など関係機関は専門家の知見を十分考慮し、無観客開催を含め適切な対応を探るべきだ。

▼河北新報「五輪開幕まで1ヵ月/有観客対応 国民に発信を」
https://kahoku.news/articles/20210623khn000005.html

 さまざまな形での「自粛」や「我慢」を国民に強いる中で、観客を入れた会場が盛り上がれば「矛盾したメッセージ」になる、との警告も専門家からは出されている。政府などが、リスクを踏まえた上で、科学に基づいた対策の徹底や国民へのきちんとした呼び掛けを早急に発信することが求められる。

▼福島民友新聞「五輪まで1カ月/感染拡大への対応を明確に」
https://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20210623-628973.php

 特に明確にしておくべきなのは、感染状況が悪化した場合の対応だ。決定では、緊急事態宣言などが発令された場合には、無観客を含めた対応を取るとした。
 観客の上限を示した今回の経緯をみても、五輪に関する意思決定には時間がかかる。事前に関係5者が協議し、無観客に切り替える際の基準を明確にしておかなければならない。

▼信濃毎日新聞「東京五輪の観客 結論ありきで高まる疑念」
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021062300145

 菅義偉政権は「主催者でない」としらを切り、大会組織委員会は政府方針に準じると言う。国際オリンピック委員会(IOC)は決定を支持するだけで、責任の所在もはっきりしない。
 (中略)
 協議後の会見に、政府やIOC関係者の姿はなかった。機会あるごとに国民の疑念に応え、協力を得るための説明を尽くす。リスク管理の責任を果たさないなら、開催する資格はない。

▼新潟日報「五輪上限1万人 『無観客』の基準を明確に」
https://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20210623624300.html

 「有観客」の背景に目をやると、浮かび上がるのは「国民不在」である。菅義偉首相は「有観客」へのこだわりが際立つが、五輪を盛り上げることで、秋までにある衆院選に勝ちたい思惑があるとされる。
 組織委の方も、多額の協賛金を出すスポンサーから招待客の入場を強く迫られ、「有観客」とする必要があったという。
 何のための五輪か。改めてその思いを強くする。

▼福井新聞「五輪開幕まで1カ月 不信感増すだけの有観客」
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/1343154

 菅首相も組織委の橋本聖子会長も、今後の感染拡大によっては無観客も辞さないと明言した。当然だろう。ただ、その判断は誰が下すのか明確にしておかねばならない。判断に遅れがあってもいけない。むろん、拡大の状況によっては大会中止に踏み切る覚悟も求められる。

▼神戸新聞「五輪の観客/提言軽視の結論再考せよ」
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202106/0014437921.shtml

 五輪開催と緊急事態宣言が重なるような事態こそ、政府の結果責任が厳しく問われることを忘れてはならない。政府や組織委、IOCなどは「有観客ありき」の結論を再考するよう、強く求める。

▼山陽新聞「『有観客』の五輪 主導した首相の責任重い」
https://www.sanyonews.jp/article/1144127?rct=shasetsu

 観客数に関し、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志は先週、無観客が望ましいとの提言を組織委と政府に提出していた。だが、菅義偉首相は提言提出の前日に国内観客を入れる意向を表明して、流れを主導したと言える。その責任は重い。
 無観客の余地を残すことで批判をかわし、大会成功を秋までに行われる衆院選の追い風にしたい思惑も透ける。感染が再拡大すれば、責任論にも直結しよう。

▼中国新聞「五輪まで1カ月 誇れる大会にできるか」
https://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=766348&comment_sub_id=0&category_id=142

 それでも菅義偉首相は五輪開催を政権浮揚につなげたいらしい。だが盛り上がらない原因は五輪開催の是非やコロナ対策を問われても、はぐらかし、答えずにきた姿勢にある。
 アスリートが躍動し、感動を呼ぶ五輪へ、1カ月で問題点を払拭(ふっしょく)する必要がある。まずは国民に向け、首相が開催の意義や感染対策を語るべきだ。

▼徳島新聞「五輪まで1カ月 国民の不安に向き合え」
https://www.topics.or.jp/articles/-/547863

 そもそも上限1万人の根拠はどこにあるのか。ここでも科学的見地に基づく納得できる説明はなかった。
 当初掲げた「復興五輪」は色あせ、「コロナに打ち勝った証し」と言える状況にはない。コロナ禍にあえて五輪を開く意義も見えてこない。政府や組織委は説得力のあるメッセージを発する必要がある。

▼宮崎日日新聞「五輪の観客上限 綿密な感染封じ込め必要だ」
https://www.the-miyanichi.co.jp/shasetsu/_54276.html

 菅義偉首相は緊急事態宣言を発令する事態となれば無観客も辞さないと述べたが、重点措置が7月11日で解かれなかった場合の対応については明言していない。感染を抑え込むことより、観客を入れて五輪を開催することを重視していると受け止める市民もいるのではないか。
 バッハIOC会長は無観客は五輪の理念と理想にそぐわないと言い続けているが、政府が国民の健康と守る責任をしっかりと果たさなくてはならない。

▼南日本新聞「[五輪観客上限] 国民の不安は置き去り」
https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=139086

新型コロナウイルス感染再拡大の懸念から中止や無観客を求めた国民や専門家を蚊帳の外に置いた決定に憤りを禁じ得ない。五輪開幕まで1カ月。再拡大の兆しがあれば、ためらわず無観客にすべきである。