G7広島サミットをめぐる日本メディアの報道についての続きです。 5月19日に発表された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」(「広島ビジョン」)が、米英仏3カ国が保有する核兵器について、事実上、抑止力として有用であることを認め正当化したこと…
G7サミット(主要7カ国首脳会議)が広島市で5月19日、開幕しました。被爆地での開催であり、核兵器廃絶に向けて具体的な前進が見られるかどうか、人類史的な意義が問われます。19日には広島市を選挙区にしている岸田文雄首相が、各国の首脳を案内する…
1972年5月15日、沖縄の施政権が米国から返還されました。ことしはそれから51年です。 例年、日本本土の新聞も15日付朝刊には、沖縄の基地の現状などに焦点を当てた記事を掲載します。ことしの5月15日は新聞休刊日で、本土の新聞では朝刊の発行…
毎日新聞社が5月11日付の朝刊に社告を掲載し、6月1日から月決め購読料を値上げすることを明らかにしました。朝刊・夕刊のセットは現行の4300円から4900円になります。1部売りは、朝刊は150円から160円に改定し、夕刊は50円に据え置く…
ことしの5月3日の憲法記念日は、岸田文雄政権が軍事費の大幅増、敵基地攻撃能力の保有などの軍拡を推し進める中で迎えました。軍事面で戦後の日本の国是であった「専守防衛」の変容としか言いようがありません。岸田首相が改憲姿勢を強めているのも、軌を…
5月になりました。朝日新聞の定期購読料が月決めで500円増の4900円になりました。夕刊発行がない朝刊単独の「統合版地域」は4000円です。値上げの一方で、朝日新聞社は紙面の文字の拡大を予告していました。1日付朝刊を手に取ってみての感想は…
新聞社や通信社の新人記者の皆さんに伝えたいことを、4回にわたって書いてきました。5回目の今回で、ひとまず区切りとします。 ▽「ニュースは歴史の第一稿」 「ニュースは歴史の第一稿」という言葉があります。 “a first rough draft of history”です。ワ…
「新人記者の皆さんに伝えたいこと」の4回目です。 「報道の自由」は憲法21条の「表現の自由」と同じように保障され、「取材の自由」も十分に尊重されるべきであるとの最高裁の判断があることを、最初の記事で書きました。日本国憲法について、もう少し書…
2週間も前のことになりますが、マスメディアの報道のありようが問われる事例だと考え、備忘を兼ねて書きとめておきます。 4月12日午前、ジャニーズJr.として活動していた歌手のカウアン・オカモトさんが東京の日本外国特派員協会で記者会見し、ジャニー…
新人記者の皆さんに読んでほしいと思い、前回と前々回の2回の記事を書きました。「社会の信頼」や「民意を知る」とのテーマは、記者の仕事に就いたばかりの皆さんには、ちょっと大きな、言葉を換えれば、例えば警察回りのような日々のルーチンの仕事からは…
一つ前の記事の続きです。 通信社の組織ジャーナリズムの上でも、メディア界の労働組合運動の上でも大先輩であった故原寿雄さんからは、さまざまなことを教わりました。そのうちの一つに、絶望するな、悲観するな、ということがありました。わたしが新聞労連…
今年も新聞社や通信社に新人記者が加わりました。配属先も決まって研修を受け、そろそろ実務に入ろうか、という人もいるのではないでしょうか。わたし自身はこの春で、マスメディアでジャーナリズムの仕事をしてきて40年になりました。現役の時間はとうに…
首都圏の大学で非常勤講師として受け持っている「文章作法」の授業は2年目に入りました。1年目後期の最後の授業は1月末でした。それから2カ月余り。ことし最初の授業で久しぶりに訪ねたキャンパスは、イチョウ並木の新緑が目に鮮やかでした。ことしは桜…
朝日新聞は4月5日(水)付の1面に、新聞の購読料を5月1日から値上げするとの社告を掲載しました。朝刊、夕刊セットの月ぎめ購読料を、現在の4400円から500円値上げして4900円にします。1部売りは朝刊180円(現行160円)、夕刊70円…
前回の記事に続いて、新聞記者、企業内記者と著作権についてです。 朝日新聞社が厳重抗議を表明している元社員が出版した書籍を取り急ぎ、読んでみました。「悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味」(講談社+α新書、伊藤喜之氏著)です。この中に、著者が在職…
朝日新聞社が3月28日、自社サイトに1通の広報文を掲載しました。自社の海外特派員だった元社員が出版した書籍に対して、元社員と出版元に厳重抗議し、相応の対応を求める書面を送付した、との内容です。「本社が著作権を有する原稿や退職者による在職中…
日がたってしまいましたが、少なからず驚く出来事であり、記録と備忘の意味も兼ねて書きとめておきます。 読売新聞は3月25日(土曜日)付の朝刊1面と2面に、新聞の購読料を値上げしないとの社告を掲載しました。少なくとも1年間とのことです。手元で確…
一つ前の記事の続きです。メディアで明快な報道が見当たらなかったのですが、放送法の「政治的公平」の解釈を巡って、総務省が重要な答弁を行っていました。政治的に公平かどうか、単独の番組の内容だけで判断することもある、との総務相当時の高市早苗氏の…
3月18日~19日の週末に実施された世論調査の結果が報じられました。放送法の「政治的公平」の解釈を巡る総務省の行政文書についても、いくつかの設問が含まれています。国会の審議を通じて、この文書が捏造でないことが総務省によって明らかにされた一…
会員制の月刊誌「選択」の3月号に「新聞界が絶望する紙価格『暴騰』~読売新聞が狙う業界再編『焦土作戦』」というタイトルの記事が掲載されています。新聞社は「新聞」という印刷物の商品を製造、販売しているメーカーの側面があります。用紙を始め原料価…
ノーベル文学賞を受賞した作家の大江健三郎さんが3月3日、死去されていたことが報じられました。享年88歳。わたしにとって大江さんは、作品になじんだ作家と言うよりは、平和、護憲、反核、脱原発など、同じ方向を見ていた同時代の羅針盤のような存在で…
このブログの以前の記事でも触れた放送法の「政治的公平」の解釈を巡る総務省の行政文書について、3月13日の参院予算委員会で、興味深いやり取りがありました。この文書が明らかになって以来、文書作成当時に総務相だった高市早苗氏は文書に記録された解…
第2次世界大戦末期の1945年3月10日未明、東京の下町地区は米軍B29爆撃機の大編隊による空襲を受けました。大量の焼夷弾の投下で木造家屋の密集地帯は焼き尽くされ、一夜で10万人以上が犠牲になったとされます。以後、米軍は日本中の主要都市の…
放送の表現の自由の根幹を巡る総務省の内部文書が明らかになりました。 2015年5月12日の参議院総務委員会で、当時の高市早苗総務相が自民党議員の質問に答える形で、放送法が定める放送の政治的公平性について、「一つの番組でも、極端な場合は政治的…
一つ前の記事の関連です。 荒井勝喜元首相秘書官の同性婚を巡る差別発言は、発言自体のひどさとは別に、マスメディアの政治報道の観点からは「オフレコ取材」のありようを考えさせる出来事でした。「オフレコ」とは「オフ・ザ・レコード」のこと。「記録にと…
少し前のことになりますが、荒井勝喜首相秘書官(当時)が2月3日、報道陣とのオフレコ懇談で、性的マイノリティや同性婚に関連して「秘書官室は全員反対で、私の身の回りも反対だ」「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。人権は尊重しますけどね」(共同…
ロシアがウクライナに侵攻してから2月24日で1年となりました。戦火はやまず、ウクライナ市民の犠牲も、両軍兵士の犠牲も増え続けています。どうしたら、この戦争を終わらせることができるのか。日本の国家として、あるいは市民として、何かできることは…
漫画家の松本零士さんの訃報が2月20日、伝えられました。2月13日に急性心不全で死去されたとのことです。享年85歳。謹んで哀悼の意を表します。 「銀河鉄道999」に「宇宙戦艦ヤマト」、さらに挙げるなら「宇宙海賊キャプテンハーロック」。21日…
一つ前の記事の続きになります。岸田文雄政権が進めようとしている軍拡=大幅な軍事費増に対して、現在、民意がどう受け止めているかを、1月にマスメディア各社が実施した世論調査の結果から読み解いてみました。結論から言えば、軍拡を支持する人の割合も…
今年に入って実施されたNHKと読売新聞の2件の世論調査の結果が報じられています。岸田文雄政権が表明した軍事費の大幅増に対して、読売新聞の調査では賛成43%、反対49%と、反対が賛成を6ポイント上回りました。 ■読売新聞 1月13~15日実施・…