ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

COVID-19

新聞労連が防衛省への抗議を表明

防衛省が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模集団接種を巡り、予約システムに架空のデータを入力しても予約ができてしまう不備を実際にシステムを使って実証していた毎日新聞と朝日新聞出版に、防衛省が抗議したことに対し、新聞労連(日本新聞労働…

信濃毎日新聞「政府は中止を決断せよ」 初めての明快な社説・論説

このブログの以前の記事で触れたように、国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ調整委員長やバッハ会長が、東京五輪開催への強硬姿勢を相次いで見せている中で、信濃毎日新聞(本社長野市)は23日付で「東京五輪・パラ大会 政府は中止を決断せよ」との…

「誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」~IOC会長も東京五輪開催強行を言明 ※追記 「犠牲」は日本人意図せず

国際オリンピック委員会(IOC)のコーツ調整委員長(IOC副会長)が、東京五輪は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発令されていても開催する、と明言したのに続いて、さらに驚くニュースをデイリースポーツのサイトで目にしました。IOCのバッ…

IOCの意思は開催国の主権を上回るのか~東京五輪「緊急事態宣言下でも開催」

驚きました。東京五輪を巡り、国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長(IOC副会長)が5月21日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言下にあっても大会を開催するかを問われ、「答えはイエスだ」と明言した、…

予約システムの不備、東京新聞も架空データで検証取材~メディアのスクラムで圧力に対抗

防衛省による新型コロナウイルスワクチンの大規模接種の予約システムを巡る欠陥の続きです。 毎日新聞とニュースサイト「AERAdot.(アエラドット)」が市区町村コードや接種券番号に架空のデータを入力し、システムの欠陥を実証取材していたことに対…

東京五輪「もうやめることすらできない」 山口香さんインタビュー(共同通信)

東京五輪・パラリンピック大会の開催の是非を巡って、女子柔道の元世界チャンピオンで現在JOC(日本オリンピック委員会)の理事を務める山口香さんが、共同通信のインタビューに「国民の多くが疑義を感じているのに、国際オリンピック委員会(IOC)も…

ワクチン大規模接種 なおも「自衛隊の政治利用」の疑念~架空データ予約の検証取材で何が明らかになったか

自衛隊による新型コロナウイルスワクチンの大規模接種オペレーションの予約受け付けが5月17日、始まりました。市区町村が配布している接種券に記載されていない架空の市区町村コードや接種券番号を入力しても予約ができてしまうことが判明し、「接種会場…

東京五輪を巡る世論 「この夏は開催するべきではない」が圧倒

東京五輪・パラリンピックの開催を巡る世論調査結果の備忘です。 この週末に実施された朝日新聞社と共同通信社の調査では以下の結果でした。 【朝日新聞調査】5月15、16日実施▽東京五輪・パラリンピックをどのようにするのがよいと思いますか。 「今年…

コロナ政府対応 新聞各紙のミスリードの教訓~「落としどころ」を探るばかりでなく

新型コロナウイルスへの対応で日本政府は5月14日、新たに北海道と岡山、広島両県を緊急事態宣言の対象とし、群馬、石川、熊本の3県に「まん延防止重点措置」を適用することを決めました。前日の13日に政府が決めた方針は、緊急事態宣言の新たな対象指…

宝島社 タケヤリ広告に改めて思う「だまされることの罪」 ※追記 宝島社のヘイト本

出版社の宝島社が5月11日付の朝日新聞、読売新聞、日経新聞の3紙朝刊に出稿した企業広告が話題になっています。見開き2ページいっぱいに、戦時中の少女たちの戦闘訓練とおぼしき写真、その中央に新型コロナウイルスを模したと思われる赤い球体を配して…

これでも「何があっても五輪開催」なのか~本土決戦(76年前の「オリンピック作戦」)を回避した歴史の教訓に目を

新型コロナウイルス対策として、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に5月11日を期限に出されていた緊急事態宣言が、5月末まで延長されることが7日、決まりました。12日から愛知、福岡両県も加わり、計6都府県となります。変異株の拡大によって大阪は医…

「昭和」の戦争とコロナ禍での東京五輪開催強行

4月29日は「昭和の日」の祝日です。昭和のころは天皇誕生日でした。1989年1月に昭和天皇が亡くなり「平成」に改元されると、しばらくは「みどりの日」でした。2007年に現在の呼び名に変わりました。「国民の祝日に関する法律」は「激動の日々を…

広島再選挙は候補一本化と争点の明確化で野党勝利~自民全敗 直後に出てきたワクチン大規模接種計画

4月25日に投開票された参院広島選挙区の再選挙と参院長野選挙区補欠選挙、衆院北海道2区補選の3選挙で自民党は、候補者擁立を見送った北海道2区補選を含めて全敗でした。菅義偉首相にとっては初めての国政選挙だっただけに、26日付の東京発行新聞各…

バッハ会長の暴言、五輪開催の強行と新聞各紙の報道~公式スポンサーだからこそ批判に意義

新型コロナウイルス対策で東京、京都、大阪、兵庫の4府県は4月25日、3回目の緊急事態宣言に入りました。期間は5月11日までですが、感染力が強まっている変異株の感染が拡大しているとの指摘があるのに、17日間という期間は、これまでの2回の緊急…

(続)「大震災10年」なのか「発生から10年」なのか~「復興五輪」に触れなかった菅首相

前回の記事(あの日のこと~「東日本大震災10年」なのか「発生から10年」なのか)の続きです。 3月12日付の東京発行の新聞各紙朝刊(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生から10年を迎えた前日3…

「大垣夜行」の思い出

旧国鉄時代、東京駅を深夜に出て東海道線を西に向かい、岐阜県の大垣駅に早朝に着く普通電車がありました。1996(平成8)年に全席指定の快速「ムーンライトながら」となり、2009年3月以降は夏休み期間などに限定した臨時列車となりました。そのム…

自粛警察ではなく本物の警察が出てきた~マスク拒否の乗客を4カ月後に逮捕、3日で起訴

気になる事件です。マスク非着用を巡って、自粛警察ではなく本物の警察が出てきました。 昨年9月、釧路空港から関西空港に向かっていたピーチ・アビエーション機内で、新型コロナウイルス対策のためのマスク着用を拒否してトラブルとなり、運航を妨げたなど…

コロナ特措法「罰則、強制力」議論は菅政権の失政隠しではないのか

新型コロナウイルス特別措置法に基づく2度目の緊急事態宣言が1月7日、東京、千葉、埼玉、神奈川の4都県を対象に発出されました。期間は1月8日から2月7日まで。感染拡大防止の急所である飲食に対策の重点を置くとのことで、飲食店の営業を午後8時ま…

緊急事態宣言になぜこんなに時間がかかる

新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、東京都と千葉、埼玉、神奈川3県を対象に、特措法に基づく緊急事態宣言が発出される見通しとなりました。昨年4月7日以来、2度目になります。菅義偉首相が1月4日、年頭の記者会見で、発出の検討に入ること…

「弱い立場の人が取り残される脆弱性を放置しない政治を」(沖縄タイムス)「民主政治に命を吹き込めるのは主権者」(中国新聞)~コロナ禍の新年、新聞各紙の社説、論説の記録

元日付の新聞各紙の社説、論説を、それぞれのネット上のサイトで見てみました。新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない中で、コロナ禍によってあぶり出された課題をどう克服し、どのような社会を目指すのかを探る内容のものが目立ちます。 中でも…

菅首相は、なぜこんなにも感染リスクに無頓着なのか~「生活感」との大きな乖離、落差

菅義偉政権が新型コロナウイルスの感染拡大防止のために掲げた「勝負の3週間」は、感染者が日を追って増大する一方のうちに過ぎました。今、明らかになっているのは、対策が後手後手に回っている政権の実状だけではありません。信じがたいほどの、菅首相自…

内閣支持率の急落と「GoToトラベル」停止~世論が動けば状況は変わる

歴史的と言ってもいい内閣支持率の急落ぶりではないでしょうか。NHKが12月11~13日に実施した世論調査によると、菅義偉内閣の支持率は前月調査から14ポイント下がって42%でした。毎日新聞と社会調査研究センターが12月12日に実施した調査…

「代わり映えのなさ」が「コロナ優先」民意とマッチ~菅義偉政権の高支持率

退陣した安倍晋三氏の後任の自民党総裁、首相に、安倍政権で長く官房長官の地位にあった菅義偉氏が選出され、新内閣が9月16日発足しました。直後にマスメディア各社が実施した世論調査では、内閣支持率は60%台半ばから70%超と高い水準でした。安倍…

政治報道と世論調査相互の検証が課題ではないか~安倍内閣支持が急上昇、「アベ政治」7割が評価、「後任にふさわしい」菅氏が逆転

安倍晋三首相の退陣表明後、自民党の総裁選実施に合わせてマスメディア各社が電話世論調査を実施しています。その結果を見ていて、政治報道と世論調査の相互の意義、あるいは相関関係を巡って感じることが多々あります。雑駁ですが、いくつか書きとめておき…

35年の時の長さを思う~日航ジャンボ機墜落当日のこと

35年前の夜、日本航空の東京発大阪行き123便のボーイング747型機、通称ジャンボジェットが群馬県・御巣鷹山中に墜落し、乗客乗員520人が死亡しました。事故機は、その以前に着陸時に機体後部を滑走路に接触させる「尻もち」事故を起こしていまし…

首相官邸の質問妨害に新聞労連が抗議声明~安倍首相インタビューではメディアを選別

安倍晋三首相が8月6日に訪問先の広島市で行った記者会見の際、質問を続けていた朝日新聞記者に対し、首相官邸報道室の男性職員が「だめだよもう。終わり、終わり」と制止しながら腕をつかんだとして、朝日新聞社が首相官邸に「質問機会を奪う行為になりか…

巨大選挙区でたった1人を選ぶ東京都知事選~現職が圧勝 雑感

東京都知事選は7月5日に投開票が行われ、現職の小池百合子氏が他候補に大差をつけて再選されました。得票は366万1371票で、都知事選では歴代2位とのことです。得票率は59.7%。次点の宇都宮健児氏が84万票余りなので、文字通り他の候補が束…

国家と地域・住民の関係を問う沖縄「慰霊の日」~地方紙・ブロック紙社説の記録

6月23日は、1945年の沖縄戦で日本軍の組織的戦闘が終わったとされる「慰霊の日」でした。75年のことし、沖縄タイムスと琉球新報は23日付の社説で、沖縄戦の体験を継承していくことの意義をそれぞれ説いています。▼沖縄タイムス「[慰霊の日に]知…

長期政権のゆがみ、腐敗が詰まった河井前法相夫妻の買収事件

新型コロナウイルス感染拡大の第2派への備えが必要と指摘されながら、通常国会は6月17日、会期を延長することなく閉会しました。それを待っていたように、東京地検特捜部は18日、昨年の参議院選での公職選挙法違反(買収)容疑で、自民党衆院議員だっ…

国と地域の関係を問う辺野古埋め立て工事の再開~控え目な在京各紙の報道

沖縄県議選の投開票から5日後の6月12日、日本政府は沖縄県名護市辺野古の新基地予定地の埋め立て工事を再開しました。工事関係者1人が新型コロナウイルスに感染したことから、4月17日から工事は中断していました。県議選では、玉城デニー知事の県政…