ニュース・ワーカー2

組織ジャーナリズムに身を置き40年余

戦争と平和

「弁護士よりも労働組合の方が強い力を持っている」(今泉義竜弁護士)~労働組合のススメと今日の課題

4月も中旬に入りました。新しく社会人になった皆さんも、少しずつ勤務先の雰囲気に慣れてきたころではないでしょうか。そんな皆さんに参考になるのでは、と思ったツイッターのツイートと、ネット上の記事を紹介します。 https://twitter.com/i_yoshitatsu/s…

「表現の自由侵害」を当の安倍元首相はどう考えるのか~在京紙の扱いが分かれた札幌地裁判決

2019年7月、参院選期間中に当時の安倍晋三首相が札幌市のJR札幌駅前で街頭演説をした際、「安倍辞めろ」「増税反対」などとヤジを飛ばした市民が、北海道警の警察官に片や腕などをつかまれその場から排除されたり、長時間にわたって付きまとわれたり…

「NO WAR」への連帯は、戦争をやめさせるための希望~ロシアの放送局員が生放送中に抗議行動

マスメディアで働く一人として、黙って見過ごすわけにいかない出来事です。 ※共同通信「生放送で『戦争やめて』、ロシア TV局の女性社員が紙掲げる」=2022年3月15日 https://nordot.app/876234491127693312?c タス通信などによると、ロシアの主要テ…

東京大空襲77年、東電福島第一原発事故11年とロシアのウクライナ侵攻~リアルさ欠く原発再稼働論と「核共有」論議

3月10日は第2次大戦末期の1945年、東京の下町地区が米軍のB29爆撃機の空襲を受け、一晩で住民10万人以上が犠牲になった東京大空襲の日。翌11日は2011年、東日本大震災が発生し、東京電力福島第一原発事故が起きた日です。ことしの3月1…

「戦争で最初に犠牲になるのは真実」~自由な報道、自由な表現への弾圧は、戦争に反対する世界中の人々への攻撃

ウクライナに軍事侵攻しているロシアのプーチン大統領が、報道に対する規制を強めています。ロシア軍の行動や戦況を巡る虚偽情報に対しては、最大で禁固15年や150万ルーブルの罰金を科す内容の刑法改正案に、プーチン大統領が3月4日、署名したと報じ…

「戦争反対」の声を広く伝える~イラク戦争当時のこと 付記・安倍晋三元首相「核共有」発言の愚かしさ

ロシアのウクライナ侵攻に対する民衆の抗議行動が世界各地で続いています。日本でも2月27日の日曜日、各地で集会などが開かれました。このブログの一つ前の記事で書いたことですが、国際的な民衆の連帯でウクライナの人々を支えること、ロシア社会で戦争…

「平和を愛する諸国民の公正と信義」はロシア社会にもある~戦争をやめさせるためにジャーナリズムができること

戦争が起きました。わたしがジャーナリズムの仕事に就いてから何度目になるのでしょうか。2月24日に始まったロシアのウクライナに対する軍事侵攻は、どのような大義が主張されようとも、どのような理屈付けがあろうとも決して容認できません。ジャーナリ…

原発にも、本土の米軍基地にも共通の視点~名護市長選に対する地方紙、ブロック紙の社説、論説(その2)

1月23日の沖縄県名護市長選の結果に対する、地方紙の社説、論説の続きです。各紙のサイトで読める範囲でチェックしました。 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を巡っては、2019年2月の県民投票で「反対」が7割を占めたように、沖縄の民意は明…

地方自治の視座から、政府に転換求める地方紙~名護市長選に対する地方紙、ブロック紙の社説、論説

沖縄県名護市長選の結果に対する新聞各紙の扱いの続きです。地方紙・ブロック紙の社説も、各紙の自社サイトで確認できるもののみですが、チェックしました。 この選挙結果をもって、辺野古新基地の建設推進を地元の民意が容認したとは言えない、との点が各紙…

「移設容認と短絡するな」(朝日) 「普天間移設の進展を着実に」(読売)~名護市長選 東京発行各紙の社説

沖縄県名護市長選で、自民、公明両党が推薦した現職が、同市辺野古の新基地建設に反対する前市議の新人に5000票余の大差をつけて再選されたことを、東京発行の新聞各紙が1月25日付朝刊の社説でそろって取り上げました。 選挙戦では現職の渡具知武豊氏…

名護市長に岸田政権支援の現職再選、しかし辺野古の新基地容認ではない~「沈黙 私たちも問われている」(朝日新聞)

沖縄県名護市長選が1月23日投開票され、現職で自民、公明両党の推薦を受けた渡具知武豊氏(60歳)が、同市辺野古の新基地建設に反対する前市議で、立憲民主や共産、社民各党などの推薦を受けた新人の岸本洋平氏(49歳)を破って再選されました。渡具…

黒船来航の地に残る、日本海軍を支えた「浦賀ドック」

江戸時代末期の1853年、ペリー率いる米国の東インド艦隊の艦船4隻が浦賀に来航しました。日本になかった蒸気船は「黒船」と呼ばれました。江戸幕府は開国を与儀なくされ、さらには武家政権の終焉と明治維新に至ります。15年後の1868年のことです…

基地の過剰負担は本土の日本国民も当事者~名護市長選皮切り、復帰50年の沖縄の選挙を注視する

沖縄県名護市長選が1月16日、告示されました。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還に日米両政府が合意したのは1996年。その後に移設先として名護市辺野古が浮上してから7回目の市長選です。立候補したのは自民、公明の推薦を得て2期目を目指…

戦争は真珠湾攻撃の前に始まっていたし、対米国だけでもなかった~太平洋戦争開戦80年の報道の記録と伊丹万作「だまされることの罪」

ことし12月8日は、1941年の太平洋戦争開戦から80年でした。節目ということからか、マスメディアでも8日前後は関連の報道が例年より手厚かったように思います。東京発行の新聞各紙も、12月8日付朝刊、9日付朝刊で大きく扱う紙面が目に付きまし…

敗戦の教訓を引き継ぐ~西日本新聞のコラム「『暑いな』とデスクは言った」

先日、フェイスブックの知人の投稿で知った西日本新聞のコラムを紹介します。3年近く前のものですが、平成最後の年明けに、「昭和が終わった日」を振り返った内容です。「当時入社7年目で警察担当だった」という筆者は、わたしと同世代のようです。 ※「『…

25年前に日米が合意したのは「辺野古移設」ではなかった(沖縄タイムス社説)~岸田政権、松野官房長官も「唯一の解決策」強調 ※追記 「新基地見直し聞き流すな」(琉球新報社説)

松野博一官房長官が11月6日、沖縄県で玉城デニー知事と会談しました。同県宜野湾市の米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、玉城知事が「直ちに中断し、問題解決に向け国と県の協議の場を設けてほしい」と求めたのに対し、松野…

「敵を想定しその敵地を侵攻するという狂気」(保坂正康さん)~戦争体験の風化と軍拡公約の承認 衆院選報道振り返り②

今回の衆院選で自民党は、軍事費の大幅な増加と敵基地攻撃能力の保有を公約に明記しました。そのことが何を意味するのか、わたしはこのブログの以前の記事(「『軍事優先社会』で何が起こるかを伝えることが衆院選報道に必要~マスメディアにも『表現の自由…

「軍事優先社会」で何が起こるかを伝えることが衆院選報道に必要~マスメディアにも「表現の自由」の当事者性

衆院選が10月19日、公示されました。自民党、公明党連立の岸田文雄内閣は10月4日に発足したばかり。一方で野党は、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の4党が市民連合との間で共通政策に合意し、選挙区での候補者一本化を進めるなど共闘体制…

自民党公約が明示する「軍拡」~政権選択の最大論点

衆議院が10月14日、解散されました。衆院選は19日公示、31日に投開票されます。憲法70条は、衆院選の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は総辞職をしなければならないと規定しています。自民党、公明党連立の岸田文雄内閣は10月4日に発…

死者との「約束の場所」靖国神社

過日、夏の休暇を取った平日の午後、東京・九段の靖国神社を訪ねました。 新聞、テレビのマスメディアは、首相や閣僚が靖国神社に参拝するたびに大きなニュースとして扱ってきました。第二次世界大戦後に東京裁判を経て処刑されたA級戦犯らが「昭和の殉難者…

祭りは終わっても、コロナ感染爆発は続く~東京五輪・在京紙の報道の記録⑪8月6日付、7日付

東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)が東京五輪をどのように報じたか、その記録です。各紙の朝刊1面が中心です。 【8月6日付、7日付】 新型コロナウイルスの日本国内感染者が8月6日、100万人を超えました。50万人に達した…

五輪開会から2週間の惨状~フェーズ変わらないメディア:東京五輪・在京紙の報道の記録⑩8月5日付

東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)が東京五輪をどのように報じたかの記録です。各紙の朝刊1面が中心です。 【8月5日付】 8月4日に発表された新型コロナウイルスの東京都の新規感染者は4166人、全国では1万4千人を超えま…

広島原爆の日、黙とう呼び掛けず~東京五輪・在京紙の報道の記録⑦8月2日付

東京発行の新聞6紙(朝日、毎日、読売、日経、産経、東京)が東京五輪をどのように報じたかの記録です。各紙の朝刊1面が中心です。 【8月2日付】 8月1日に発表された新型コロナウイルスの新たな感染者は、東京で3058人でした。全国では1万人を超…

沖縄戦から76年 犠牲者を悼み、歴史に学ぶ~「教訓を後世に」(琉球新報)、「記憶継承へ支援の輪を」(沖縄タイムス)

6月23日は沖縄の「慰霊の日」です。第2次大戦末期の沖縄戦で、沖縄守備隊の第32軍・牛島満司令官と長勇参謀長が自決して指揮系統は消滅、日本軍の組織的戦闘が終結したとされる日です。76年前、沖縄は日本軍の本土決戦までの時間稼ぎの捨て石にされ…

「人権侵害の懸念消えず」(沖縄タイムス) 「欠陥法は認められない」(琉球新報)~土地規正法成立、在京各紙はスタンスに違い

自衛隊や米軍基地など安全保障上の「重要施設」周辺や国境に近い離島などの土地利用を規制する法律が16日未明、参院本会議で可決、成立しました。マスメディアの報道では「土地規制法」との呼び方が主流のようです。自民党、公明党に加え日本維新の会、国…

沖縄マスコミ労協とMICが連名で「重要土地規制法案」への反対声明を公表

衆議院を通過した「重要土地調査規制法案」に反対する声明が、沖縄県内のマスメディア労組でつくる「沖縄県マスコミ労働組合協議会」議長と、新聞労連や民放労連、出版労連などでつくる「日本マスコミ文化情報労組会議」(略称MIC)議長の連名で発出され…

菅政権直結だった宮古島市の前市長逮捕~自衛隊配備、巨大利権だったのか

沖縄県宮古島への陸上自衛隊配備を巡って、いささか衝撃的なニュースです。沖縄県警捜査2課は5月12日、宮古島市の下地敏彦・前市長(75)を収賄容疑で逮捕しました。 ※琉球新報「陸自駐屯地めぐり650万円贈収賄容疑 前宮古島市長と千代田CC元社長を逮…

宝島社 タケヤリ広告に改めて思う「だまされることの罪」 ※追記 宝島社のヘイト本

出版社の宝島社が5月11日付の朝日新聞、読売新聞、日経新聞の3紙朝刊に出稿した企業広告が話題になっています。見開き2ページいっぱいに、戦時中の少女たちの戦闘訓練とおぼしき写真、その中央に新型コロナウイルスを模したと思われる赤い球体を配して…

これでも「何があっても五輪開催」なのか~本土決戦(76年前の「オリンピック作戦」)を回避した歴史の教訓に目を

新型コロナウイルス対策として、東京都、大阪府、京都府、兵庫県に5月11日を期限に出されていた緊急事態宣言が、5月末まで延長されることが7日、決まりました。12日から愛知、福岡両県も加わり、計6都府県となります。変異株の拡大によって大阪は医…

「昭和」の戦争とコロナ禍での東京五輪開催強行

4月29日は「昭和の日」の祝日です。昭和のころは天皇誕生日でした。1989年1月に昭和天皇が亡くなり「平成」に改元されると、しばらくは「みどりの日」でした。2007年に現在の呼び名に変わりました。「国民の祝日に関する法律」は「激動の日々を…